最後のユニコ-ン: 完全版
最後のユニコ-ン: 完全版 / 感想・レビュー
帽子を編みます
面白かった、毎日チビチビ寝落ちしながら読み続け読了後にもう一回読みました。登場人物が素晴らしい。雌のユニコーン、魔法の使えない魔術師、酸いも甘いも知ったモリー・グルー、残酷な王、赤い雄牛、英雄の王子、その他のちょっとした人物たちも印象的です。設定は魔法や呪い、伝説の生物が出てくる牧歌的な世界なのですが、この繊細な味わい、美しいラブストーリーでもあります。『ふたつの心臓』後日談です、『最後のユニコーン』を読んだ人、絶対読むべきです。あとがきを読んで、この続きを読みたいと思うのは強欲でしょうか期待しています。
2023/06/18
アナーキー靴下
しっかりとしたストーリーラインと一貫したユニコーンの美しさが明確な軸だが、ファンタジーの要素が緻密に織り込まれ、足元が覚束なくなるほどの多層さに酔う不思議な作品。ハイファンタジーが降りてくるような始まりに、魔法と魔法破り、神話や冒険譚、そして人間であるがゆえの虚構性。作者の言葉通りこれをパロディと受け止めるなら、シェイクスピア悲劇のように己の運命を暗示的に語ることさえパロディめいて見える。人間の生は時に悲痛すぎる道程、自身の理想世界のセルフパロディを演じるようにスパイスを効かせて進み続けるしかないのだと。
2024/08/04
ワッピー
<表題作>長く森の中で暮らしていた雌のユニコーンは旅に出て、無能な魔術師シュメンドリック、ならず者の群にいた娘モリー・グルーを道連れに、今では忘れ去られたユニコーンの伝説を追う。一行は赤い雄牛に捕らえられた仲間を解放するためにハガード王の王国をめざし、リーア王子と出会う。<ふたつの心臓>長年待たれていた後日談。森に棲みついたグリフィンが村を襲い、年端もゆかぬスーズは老境のリーア王に直訴するために途上で出会ったシュメンドリックとモリーとともに城に向かう。どちらも傷ついた世界の癒しと愛を描いた美しい作品。
2019/05/15
miroku
近年の作品「ふたつの心臓」を併録。ファンタジーの枠に制約される登場人物たちの姿は、まさに社会の中での役割に縛られる人間存在そのもののカリカチュア。道化を演じ続けながらも、ピュアな登場人物や幻獣たち。印象深い作品。
2012/07/16
はじめさん
最も美しい幻獣ユニコーン。森に暮らす雌の個体は、ある日旅に出た。人間にとって彼女は「白い馬」にしか見えず、人々の記憶からユニコーンの存在は消えつつあった。幻獣ハーピーを擁する深夜のサーカス団の誘拐から脱出に助力してくれた不死の呪いを受けた魔術師、ならず者の集団にいた老婆を旅の仲間に、世界のユニコーンを狩り集めた暴君の国へ。魔法により姫の姿になったユニコーンは獣の頃の記憶を失い、複雑な過去を持つ英雄王子に求愛され…。/ RPG的な役割。幻獣という存在が消えたなら…というアイデンティティークライシスの行方は。
2017/07/19
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