時を呼ぶ声 (学研M文庫 く 8-1)
時を呼ぶ声 (学研M文庫 く 8-1) / 感想・レビュー
さらば火野正平・寺
亡くなってからというもの、近頃は久世光彦の本を書店で見ない。文庫すらほとんど見かけない。文筆業になってから、怒濤の如く本を出していたのに。淋しい事である。この本はまるで短篇小説集の様な自伝的エッセイ集。解説は阿久悠の談話である。ノスタルジーとセンチメンタルが気持ち良くて、ズルズル酔う様に読んでしまう。思想的には右寄りの人だが、美的なので全然厭じゃない。『天皇』と題する一篇は昭和天皇への恋を書いたものでドキドキしてしまう。太宰治や上村一夫も印象的。本書が書かれたのは戦後50年。これから20年も経ったのだな。
2016/09/27
感想・レビューをもっと見る