赤江瀑名作選 (学研M文庫 あ 14-1 幻妖の匣)
赤江瀑名作選 (学研M文庫 あ 14-1 幻妖の匣) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
「上空の城」はたくさんのお城(生まれ故郷の城も登場してました)の登場と求める城の妖しさに泉鏡花の「天守物語」の人外のモノが外界で人を侵食した作品という印象を受けました。2人のやり取りが微笑ましいだけに最後の別れが切ないです。「花曝れ首」は「好いた男とみる地獄や。おちとみやす」という言葉が強いです。春之助の秋童への言葉に恨みでも憐みでもない悲しみと愛おしさがあると思います。「阿修羅花伝」は孫次郎に魅入られた面打ちが自分を消せないという苦悩と死が生霊によって昇華されています。「春喪祭」は長谷寺の牡丹と女の声の
2012/07/12
を
良すぎた。ここ二ヶ月ずっと憑かれたように耽読していた。
2021/08/05
tomo*tin
妖艶で美しく、どこまでも幻想的な物語たち。華麗な文章に誘われ、読者は深い奈落へと旅に出る。それは、かたく煌めく、酩酊の旅。
2008/11/01
ren
赤江瀑を読んでいると、何故か山岸凉子を読んでいるような気になる…。モチーフが近いんだろうか。それはさておき、上空の城は面白いのだがやや中だるみ気味で疲れる。春喪祭は地元県なこともあり大好き。一度花の時期に深夜の寺内に立ってみたい。奏でる艀は読後感が素晴らしい。その他も秀逸。入門書としては非常にバランスのとれた一冊かと。
2010/04/02
Mark.jr
怪奇幻想文学のアンソロジストである東雅夫氏がセレクトした傑作選になります。収録作中唯一の長編「上空の城」はオカルト風味の恋愛もので、殺しあいや愛憎交えない男女関係は、著者にしては結構珍しいですが、"城"という伝統的要素が出てくるのは、非常にらしいです。やはり、本領は大部分を占める短編作で、特に「阿修羅花伝」は伝統芸能の業に取り憑かれた人間という、著者お馴染みのテーマで、最も個性がよく出ている作品かと。光文社からも傑作選が三冊出てますが、収録作は被ってないので、そちらもぜひ。
2022/08/21
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