一絃の琴
一絃の琴 / 感想・レビュー
Yoshitsugu Kaji
はるか昔、古書店で100円くらいで購入して読まずに置いていた一冊。江戸の終わりから、戦後までの音曲の様子がよくわかる。主人公たちの音曲に対する感動という原動力から、芸を磨き、一度芸を離れたのちに再び極めていく過程が、何とも生々しく描かれる。極められた芸は誰かに感動を与え、次の世代へとつながるのだが、伝えようとしても伝えたいようには伝わらず、思わぬ形で繋がったり、伝承の糸が途絶えたり・・・芸を伝える難しさと、音曲というのはその人となりを示す、その人についた物である事を改めて感じ入った。さすがの名作。
2014/10/25
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