ボードレールの世界
ボードレールの世界 / 感想・レビュー
KAZOO
福永武彦によるボードレールの作品論あるいは人物論ということで堪能できます。昔ほど大学生はボードレールについてはあまり読まなくなったのでしょうか?我々の頃は結構フランス文学をとる人はボードレールにはまっている人が多かったようです。福永武彦による訳詩もわかりやすく、解説も素晴らしいものがあります。私は再読ですがボードレールを読みたくなります。
2017/03/17
月
「悪の華」発表以前、<冥府>というテーマのもとに発表された詩篇の中で、既に憂愁(spleen)に包まれた精神的風景を歌い、その後も深く、より拡大されていくその世界。このような精神状態は、一種の麻痺的な、自己陶酔的な、忘却に近い静けさの中から生まれてくる。それは外界の騒音から詩人が聴きとめた内心の声であり、幼少から詩人を培った一種の夢幻的な本質でもある。<冥府>は、ボードレールの苦しい内面の旅の出発点であったと同時に、また彼の戻っていった故郷のほかならない。
2015/11/12
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