とむらい師たち (講談社文庫)
とむらい師たち (講談社文庫) / 感想・レビュー
モリータ
表題作、面白かった。
2012/04/02
急性人間病
一方では墓穴、一方では女性器として(「あゝ水銀大軟膏」ではぼっとん便所としても)提示される、かたるべからざる“穴”、それにかけられるヴェール(忌むべき穴の提示を公共性に阿って正当化する論理)。そのヴェールの中を覗く趣味は下世話には違いないが、それが“上っ面の欺瞞を暴く”ようなニュアンスに貶められず、これがわたしが息を吸ってきた世界の原風景なのだ、という語る者の高揚として押し寄せてくる。「とむらい師たち」に特に顕著な、正統的な三人称描写と一人称のナラティブが混淆している地の文がそこと滅茶苦茶合ってて凄い。
2024/11/20
渡邊利道
はじめ、若い自分には表題作の中盤から結末までの展開にはちょっと虚をつかれる思いがしたものだったが、いま読むとむしろ当時のやけっぱちで楽天的な雰囲気がよくわかるものだったのだなという気もする。SF的ブラックユーモアのケッサク。ほかに「ベトナム姐ちゃん」の哀切さが素晴らしい。
2016/07/10
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