剣と花 上 (講談社文庫 た 3-4)
剣と花 上 (講談社文庫 た 3-4) / 感想・レビュー
しゅんしゅん
鎌倉の石津屋敷の当主である石津武一郎のもと、三男の文三郎を中心に展開される物語。社長である長男のぎくしゃくした家族関係、科学者の次男の不器用さ、女優の次女の仕事と恋愛、腹違いの母の末妹の千代子の文三郎への想いなど、登場人物を照射する群像劇。武一郎の文三郎への信頼は篤く、今はうだつのあがらない無頼の身だが、その剣の腕もさる事ながら、人を魅了する人間性を備えている。みな心の中に満たされない欲望を抱えており、紛らわすように夜の街へ出たりする中、文三郎は生活を立て直そうとするものの、妹からの思慕が甘くのしかかる。
2021/07/09
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