永い夜 (講談社文庫 た 3-6)
永い夜 (講談社文庫 た 3-6) / 感想・レビュー
じいじ
五篇の短篇集。自身の「生」を破壊してまでも「性」を追い求める女の執念。本作の女性は、これまで読んだ立原作品の女にはない個性的で愛欲的だ。個人的好みで選ぶと、表題作の『永い夜』に、著者の気迫を強く感じます。夫の出征後、3年守り続けた妻の貞節が突如崩れる。精神的嫌悪に反比例して快楽を求める妻。―女の性〈さが〉と息子の性の疼きが執拗に描かれた作品。この本、私は所々で反駁をしながらも面白く読んだが、読み手の評価(好み)は、完全に二分する作品の気がする。
2018/06/12
メタボン
☆☆☆☆ 背徳的な作品が多かった。女衒の徹をどうしても忘れられず破滅に向かう女・男娼たち「渚通り」、ともに私生児のピアノ教室の母娘の男に対する鞘当て「狂い花」、蛇を食べることで精力を甦らそうとする不能の夫、その夫に暗黙の了解で男をあてがわれる妻「双頭の蛇」、漁師の娘を犯した息子のせいで、その娘の兄に犯される母が性に溺れていく表題作。他「曠野」。
2023/04/21
GaGa
再読。名作「冬の旅」の作者である立原正秋はすぐれた官能小説も多く残している。本書もその一つ。解説にも書かれているが、官能小説でありながらエロではなく、人の心の病巣を静かに見据えるかのような作品に仕上がっている。一人隠れて読むのにもってこいの作品です(笑)
2010/06/28
agri
性の極限に待つものとは。短編集5編
2009/08/09
モモイロペリカン
サイコホラーのような要素もあって新鮮で面白かった。タイトルがぴったり。夜は明けないまま。解説で、立原と三島由紀夫の対比が書かれているのが興味深い。
2022/04/07
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