うたかた (講談社文庫 た 2-5)
うたかた (講談社文庫 た 2-5) / 感想・レビュー
リッツ
何度目かの再読。年上だったはずの主人公達の年を軽く越してしまった。せつない青春の物語が五つ。やはり今も変わらず「虹」と「大阪の水」にひかれる。虹は恋人への思いと母への思いが胸に痛く、思うようにいかない生活の重みも酷しく伝わる。が、とても愛情のこもった温もりのある作品、希望のみえるラストのシーンはいつまでも心に残る。大阪の水は主人公の恋に対する姿勢がもどかしくはあるけれど潔く『恋愛で楽しかったから損はしていない、人生の勘定おうてる』この思考は初めて読んだ若い頃の私にとって新鮮な驚き、かつ影響を与えたと思う。
2015/06/28
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