深夜の散歩―ミステリの愉しみ (講談社文庫)
深夜の散歩―ミステリの愉しみ (講談社文庫) / 感想・レビュー
夜間飛行
昭和30年代の雑誌連載。この3人による推理小説案内が面白くないわけない。78年版では3人の探偵小説論が加えられ、中でも19世紀・自然主義に対する20世紀・主観主義の一翼を担ったとする中村の論が面白い。推理小説が文学かどうかについて中村の答は明快であり、文学であっても差し支えないが悪い文学では困る、とする。丸谷は、小説という芸術から孤独性や風俗の描き方を推理作家が取り入れた、とし、福永は、探偵小説を〝愉しみ〟と割り切りつつも、読者の主体的参加を促す点において純文学の作家が探偵小説から学んだ点は多いと述べる。
2022/04/27
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