春秋の檻 (講談社文庫 ふ 2-3 獄医立花登手控え)
春秋の檻 (講談社文庫 ふ 2-3 獄医立花登手控え) / 感想・レビュー
大阪魂
ひさびさ藤沢さん。獄医立花登手控シリーズ1冊め。7つの短編集。用心棒シリーズと同じく人情もんで、最後は悪がやられる勧善懲悪もん。叔父の家でおばさんや従妹・おちえに下男扱いされプンプン怒りながらもなんやかや面倒みてやる牢医・立花登。牢屋の中でも囚人たちからも頼りにされて、いろんな事件にまきこまれてく。柔術の達人やし、フットワーク軽いし、岡っ引きとか新谷とか仲間も多い登。このシリーズも楽しめそう。にしても「女牢」で処刑されるおしのといい「落葉降る」のおしんといいかわいそすぎ…おちえと登の今後は楽しみやけど…
2018/06/24
ろし
獄医立花登手控え① 羽後亀田藩の微録の下士の次男に生まれた登は、叔父の小牧玄庵に憧れて、藩の医学所で学んだあと江戸で開業する玄庵を訪ねる。しかし肝心の玄庵は、酒好きの怠け者となっており、小伝馬町の牢医の仕事も押し付けられる。さらに、金に渋い叔母に嫌な思いをさられたり、跳ねっ返りのの従妹おちえに振り回されるトホホな毎日である。そんな登だが、鴨井道場でならした柔術と機転で牢屋の囚人たちや、おちえの面倒を解決していくあたりが面白い。最後におちえの頬を張り倒した登にスカッとした【海坂藩城下町 第3回読書の集い冬】
2017/12/12
AICHAN
吟味方与力、鍵役同心、打役同心、世話役同心、下役同心、平番同心…。いやはや、たくさんの警察役人がいたわけだ。江戸時代に来日した外国人が驚いたのは役人が同じ仕事を2人で受け持っていることだったという。戦国時代が終わり武士はみな役人になった。あんまりたくさんいるので、1つの仕事に2人などという組織になったのだろう。そんな武士たちを百姓が養っていたのだから百姓の苦労は並大抵のものではなかったろう。江戸時代、遊郭だけでなく宿場にも遊女がいたのは、年貢が払えなくて娘を売った家がたくさんあったからではないかと思った。
2016/03/17
AICHAN
牢医であり柔術家でもある青年が罪を負った病人と向き合い真の悪党どもと闘う。主人公が剣術家ではなく柔術家というところがこのシリーズのミソだと思う。医者なのに剣でバサバサと人を斬っては「おいおい」となるけれど、柔術で倒すなら「まあそれなら許せるか」となる。柔術家が主人公の時代小説なんて他にあるのだろうか。そういう意味でもこのシリーズは貴重だ。スポーツ化された柔道ではなく古武術である柔術の冴えが見所。危険技を取り除かれる前の柔術は現代にも残っている。藤沢さんはそれをよく取材していると感じた。
2016/01/09
AICHAN
江戸時代の牢獄はかなり悲惨で、身体が弱い者は1年も入れられていると死ぬと何かで読んだことがある。でも、このシリーズを読むと小伝馬の牢は意外に進歩的である。ぎゅうぎゅう詰めでその点は大変だったろうが、食事は与えるし湯にも浸からせるし医者も付いている。現代でも刑務所はそんなに悪い環境ではないようだ。ところが市井の中には毎日の食事さえ摂れない人が大勢いる。彼ら困窮者を現代の日本は救おうとしない。そんな底辺の国民を睥睨して公僕のはずのアベはゴルフを楽しみ高級料理に舌鼓を打ち海外で税金をばらまいている。何この国?
2016/01/03
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