幼い子は微笑む (講談社の創作絵本シリーズ)
幼い子は微笑む (講談社の創作絵本シリーズ) / 感想・レビュー
やま
これを読んで、全文を書き写して、重く疲れた。 なぜなのか…と、考えてみた。 微笑ことを忘れている自分に行き当たるのか? そして、この70年で得たものより失ったものが多かったのか? 否定するのは簡単だ。 言葉が、人と人を結びつけ。笑顔が、繋がりを生む。 人生は、後戻りはできない。 これからの生き方にかかっているのか…と。 あと、どれくらい生きれるか分からないが、あるがままの自分でいたい。 そして微笑んでいたい。
2021/08/05
Hideto-S@仮想書店 月舟書房
たんぽぽの綿毛を吹く男の子の表紙。詩人・長田弘氏と絵描き・いせひでこさんが再び、ひとつの世界を創ってくれた。頁を繰ると詩人の言葉に頬を打たれる思いがする。言葉を自在に操り、それと引き換えに幸福を失い悲しみを知った。もう真っ白なカンバスのような無垢な頃には戻れないけれど、来た道を引き返すことはできないのだ。これは詩集『奇跡・ミラクル』の巻頭の詩。希望はあるのだと信じたい。『奇跡』のあとがきで長田氏は「小さな微笑は『奇跡』である」と記している。であるなら、悲しみを引き受けながら小さな微笑を絶やさぬ人になろう。
2016/03/13
kanegon69@凍結中
これは深いなぁ。非常に深い絵本だ。長田弘さんのこの詩は、その意味するところをすごく考えさせられる。そう、本当に幼い頃、ただただ何かができるようになったら微笑んだ。きっとそれを見守る親もそうだろう。ただただ微笑んだ。しかし成長するにすれ、憎しみ、妬み、ストレス、犯罪、戦争、、たくさんの苦しみも得てしまう。人間とはかくも危うい存在だ。伊勢さんの絵は生まれたての赤ちゃんの様子、野原や川の橋にただずむ幼子の2人、非常に美しく淡く、目を奪われてしまう。まるで人間の危うさを表現しているかのような美しい絵でした。深い!
2019/11/22
MI
すごく深い絵本。幼な子は話せないから、微笑みを覚える。できることがだんだん増えていく。「人はことばを覚えて、幸福を失う。そして覚えたことばと同じだけの悲しみを知る者になる」読み終わった後の余白のある絵本。すごくよかった。
2023/12/08
Natsuki
感想を書くまでに繰り返しページをめくっては、溢れてくる涙の意味を考える。自分でも気づかぬうちに失ってしまった悲しさなのか、自分が何も知らずに微笑んでいた頃を懐かしく想う気持ちなのか。自分でもよく分からないまま、ただただ涙が流れていきます。読み手に語りかけてくるような長田弘さんの詩にいせひでこさんの絵。『最初の質問』に続き、またしても大きな宿題をもらったような気がします。
2016/03/22
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