ぼくらの気持 (講談社文庫 く 2-2)
ぼくらの気持 (講談社文庫 く 2-2) / 感想・レビュー
イプシロン
(再読)男も女も馬鹿だねェ、しょうもないねェ。だけどそんな男と女だし人間だからこそたまらなく愛おしいんだなァ。そんな栗本薫の思いの詰まったミステリー。用意周到かつ綿密な計画じゃない連続殺人だから人間味が滲んでしまう。そういうミステリーを通して人間を描く。そこがいい。裏切りや背信という過去を癒すのは己が力のみと締めくくりながら栗本薫が選んだB.G.M.はイーグルスの『ホテル・カリフォルニア』。結構なハードボイルドっぷりだ。けれども'70年代からの少女漫画ブームを知らないで読むのはかなりきついかもしれない。
2015/12/30
Ryuko
「ぼくらの時代」の2年後。ヤスヒコは少女マンガの編集者に、薫くんは文章を書いて糊口をしのぎ、信はまだ大学生。一人サラリーマンとなったヤスヒコが殺人事件に巻き込まれる。ヤスヒコのために奔走する信と薫。殺人事件の真相よりも三位一体になれなくなった3人の寂しさが際立つ。続けて「ぼくらの世界」もいきたいけど、他の小説のネタバレがあるとのことで、それらを読んでからにしたい。「ぼくらの世界」既読なんだけどね。全く覚えていない。( ´艸`)
2019/01/07
新田新一
売れっ子の漫画家が殺されます。殺人の容疑は彼女の編集者に。編集者とは友人だった栗本薫は彼の容疑を晴らすべく奮闘するのですが、複雑な人間関係に巻き込まれて身動きが取れなくなります。華やかな少女漫画の世界の裏側にあるドロドロとしたものが巧みに描かれています。お金と男女の愛欲といったものです。なぜ殺されたのかという謎が中心に据えられており、地に足がついたミステリーという印象を受けました。薫が好きになる千鶴の描き方が印象的。可憐に見えて重たいもの抱え込んでいます。人間の哀しみが感じられるラストが胸に迫りました。
2024/05/25
gushwell
若い頃読んだ本を再読。「僕らの時代」をまず読もうと思ったのだけど、本棚に見当たらないので(たぶん処分してしまったと思われる)第2作目の「僕らの気持ち」を読む。 久しぶりに推理小説らしい推理小説を読んだ気がする。 1979年に書かれたものだけど、古さはほとんど感じない。というか、本当に40年前に書かれたの?とビックリです。 最初の出だしからすーっと物語に入っていけて、一気に最後まで読んでしまいました。
2019/04/20
agtk
ぼくらシリーズ第2段。数十年ぶりの再読。一作目が話題に取りあげられることが多いけど、今読み返してみると、こっちの方が断然おもしろかった。再読だったので、久々に読んだとはいえ途中で犯人はわかった(思い出した)けど、薫くんの語る推理はワクワクした。さぁ、次は「ぼくらの世界」だ。楽しみ。
2019/02/09
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