ムーミンパパ海へいく (講談社文庫 や 16-7)
ムーミンパパ海へいく (講談社文庫 や 16-7) / 感想・レビュー
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
ムーミンシリーズで一番好きな一冊。何もかもそろって満ち足りたムーミン谷を出て、心機一転一からやり直そうとするムーミンパパ。そんなパパの気持ちを理解し寄り添いながらも、荒れ果てた島と厳しい海の生活に疲れ、たきぎ切りや壁に絵を描くことに没頭し、眠りの世界に逃避するママ。思春期を迎え、うみうまに憧れを抱き、両親に言えない秘密を持つムーミン。いつも変わらないハードボイルドなミイ。そして、人嫌いで無口な謎の漁師。キーパーソンは何もかも凍りつかせる孤独なモラン。漁師とミイの関係が素敵。
2016/10/22
たらちゃん
アニメでみたムーミンと全く違う世界に驚きました。まず言葉遣い。〜だぜ、とパパが言うなんて…。また、やる事なす事現実的すぎたり非現実的だったり。アニメから頭が切り替わった頃から楽しく読めるようになりました。
2016/08/12
大泉宗一郎
ムーミン一家がこんなに困っている姿は、見たことない。これまで、彗星が降ってきても、洪水に呑み込まれても、のんびりと、したたかに、流れに逆らわずに対応してきた一家だけど、今回は、島に引っ越したというだけで、様々な問題に悩まされてしまう。食糧の調達、居場所の喪失、思春期、責任、孤独──。それでも、愛らしい顔と丸っこい体形、ちょっとだけズレた会話が深刻さを和らげてくれているおかげで、展開とは裏腹に流れるうっとりするような文章や、かわいらしいイラストの躍動も楽しむ余裕ができた。シリーズの中でも、重要な作品だと思う
2016/05/20
ワッピー
物語のトーンがリアルに切り替わります。パパのアイデンティティ「自分が必要とされる」場所を求めて、灯台のある島へ移住する一家。家族の登場人物はママとムーミントロールとミイだけで、それぞれの心理が細やかに描かれます。うみうまのエピソードはわかりやすくムーミンの思春期だし、盤石と思っていたママの日常性への倦怠も意外ですが理解できます。しかし、モランのエピソードは、わからないながらもシリーズ中屈指の重要かつ難解なテーマのように感じます。メンバーそれぞれの葛藤の中で、静かにたどり着く大団円。何度読んでも新鮮です。
2014/12/07
紅葉まんじゅう
「おかしいわ。くらしがうまくいきすぎるからといって、悲しんだり、ましてはらをたてるなんて、おかしいわ。だけど、そうなんだからしかたないわ。かんじんなことはただひとつ、生活をあたらしくはじめることね」 そうして島へと渡ったムーミン一家だが、そこは、今までより良い場所とはとても言えない。でも、なにか新しいことに向かっていきたいときには、進むことを躊躇ったらいけないんだろうな。ありをめぐるムーミンとミイのやり取りが印象に残った。
2014/05/29
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