ストーリーメーカー 創作のための物語論 (星海社新書 39)
ストーリーメーカー 創作のための物語論 (星海社新書 39) / 感想・レビュー
京和みかん
この本は大塚英志先生が書いた、実用的な物語創作本です。第二部にはQ&A形式の穴埋めにて物語を創作できるというワークシートが解説されており、「実践」に重きを置いて考える大塚先生の著作では中心を占める部分です。前半の第一部は様々な物語論を展開しています。創作に興味のある方、また人類にとって普遍的な「物語」という文化的側面に興味のある方も、楽しめる内容になっています。『読むな、使え』を推奨するこちらの本。創作者には必読です。
2017/01/04
しゅん
『スターウォーズ』をひとつの基準点としつつ物語の創作の文法を説き、後半にはその実践編も用意する。「行きと帰り」「喪失と回復」などの構造があらゆる物語に共通するという点は深く頷くものの、一つの構造だけで物語を説明することの苛立ちも感じなくはないというのが自分の立場だけど、実際には本作はまんがや小説などを作るための実用書ではない気がしている。むしろ、人は生きる為に物語を無意識的に使っていて、そのパターンは実は一つしかないと伝えようとする本なのではないか。その意味で、本書は全ての人に開かれている。
2017/04/18
Arisaku_0225
帯にある「読むな、使え」のアオリの通り、本書は(私)小説、シナリオ、脚本などのひとつのストーリーを作りたいと思っている人が対象の本。2部構成で後半が30の質問に答えていくことで、ストーリーを「出力」することが出来る。本書は鋳型みたいなもので、その鋳型は昔話や伝説を元に物語論を展開したブロップ『昔話の形態学』やボグラー『神話の法則』などを骨組みにし、論については前半で解説されている。創作に型を持ち込むのは一見すると堅苦しいような、拘束された印象に思うが、何事もまずは基本を知ることが肝要なのだろう。
2023/11/15
ころこ
一連の著作を立て続けに読んでみて、ようやく一つの到達点に達したような気がします。例によって、後半のワークショップは無視して、前半の理論に注目してみました。ここで取り上げているのは、紹介されている4冊の外国の物語論です。これらはハリウッド映画など、エンタメ映画やTVのシナリオで流通しそうな虎の巻のようで、単にストーリー作成の楽屋裏を覗き見する目的に使えそうです。他方、これらは欧米文化圏の神話や、文化人類学を基礎にもしています。さらに著者は、柳田國男や折口信夫の仕事から、日本の民話にも同様の議論を発見していま
2017/09/23
またの名
「ぼくの学生たちはぼくの文芸評論を一行たりとも読む気のない連中ばかりです」と漏らされる講義の様子に、苦労が偲ばれる。そんな学生であっても物語を作るとなると人類共通のパターンに一人で辿り着くのを見た経験が、プロップやキャンベルの神話研究から抽出できる同一の物語構造の存在を証明することに、著者は当然の事象と受け止めるのみ。創作を目的にしては読んでないので本書の道具としての有効性は判断できないが、コンピュータ機械が自動的に物語を製造していく脱神秘化されたビジョンを仮定の話のように見なすのは、もう不可能になった。
2023/04/08
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