キャラクターメーカー 6つの理論とワークショップで学ぶ「つくり方」 (星海社新書 42)
キャラクターメーカー 6つの理論とワークショップで学ぶ「つくり方」 (星海社新書 42) / 感想・レビュー
ころこ
ワークショップには全く興味が湧きませんでしたので、理論を読みました。言文一致→自然主義→私小説の『私』が本当の私だというのが間違いで、仮構された『私』というキャラクターと、『私』の語り口として相応しい言文一致体というのは、形式が違うだけで現代で言うとラノベと比べることが出来ると言います。著者は一貫して、キャラクターというサブカルと見下げられた存在を、歴史的にみれば普遍的な存在だということを理論的に証明しようとしています。精神分析で言う移行対象を、「スヌーピーとチャーリーブラウン」のライナスの毛布にみて、同
2017/09/20
Chicken Book
ひとつキャラクターを立てることで「私」との距離を取ることができ、むしろ「私」として表現できなかった本当の「私」が表出してくる。どんな物語を書こうと、そこには無自覚にも自分の人生の蓄積の一端が現れてしまうものなのだから、あえて自分のことを語ろうとする必要はなく、それよりも「物語」とはどのように構成され、その中でキャラクターはどんな役割を持ち、どう立ち回らせるのかという理論をまずは知識としておさえておくことが有用。
2021/09/23
ひつまぶし
結局のところ、現代人は神話を喪失して苦しんでいるということか。だから自分で物語を作り出す力を後押ししようというのが大塚の構想なのだろう。物語の形態論は未だ死に絶えてはいない神話の名残りとして活用される。しかし、創作の世界だけで立ち向かえる課題ではないだろう。物語の世界を豊かにし、リアリティを帯びさせるためには語るという行為やその場もひっくるめた取り組みが必要だろう。物語世界の批評としても、きちんと組み立て直さないとダメだと思う。ラノベというジャンルがあるとはいえ、漫画と地続きで身体性を語るのは無理がある。
2024/06/29
in medio tutissimus ibis.
キャラクターは作れる。なぜなら今日誰もが私というキャラクターを日々作成しているから。逆に、その作り方を学ぶことは私を客観視し自己実現の危機を乗り越える手段ともなる。個性とは還元可能な要素のどれかではなくその構成の仕方、要素や設定の矛盾の克服の仕方にある。キャラクターは不均衡の解消を目的とする物語の中で、受動的な自己実現者やその援助者や試験者や否定的な自己実現者として活動する。その正否よりもそれらの断絶こそが、ひいては私と世界の不連続として暴力的に現れうる。キャラクターを物語る事は私を批評的に見る事になる。
2020/06/10
ninni
流し読み ・移行対象=大人になりきれない人が必要とする。居るだけの存在。トトロ、カオナシ、ライナスの毛布。 ・移行対象は主人公が大人になると同時にいなくなる。 ・欠如からストーリーが生まれる。
2018/08/30
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