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「おたく」の精神史 一九八〇年代論 (星海社新書 78)

「おたく」の精神史 一九八〇年代論 (星海社新書 78)

「おたく」の精神史 一九八〇年代論 (星海社新書 78)

作家
大塚英志
出版社
星海社
発売日
2016-03-25
ISBN
9784061385795
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「おたく」の精神史 一九八〇年代論 (星海社新書 78) / 感想・レビュー

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ころこ

70年代の政治運動を引き継いだ「革命」は、戦後社会に「おたく」を発見することによってなされた。「おたく」はモダニズムの達成でもあり、ポストモダニズムの萌芽でもあるという二重性や、「新人類」を大塚的「おたく」が上書きして両方の役割を果たしてしまっているという二重性など、著者の「おたく」は社会で言われているのといささか異なり、多義的です。多くのエピソードから見逃せないのは、岡田有希子の文体の問題と、黒木香の「わたくし」の問題です。非常に鋭い文学論であるとともに、女が自己表出した一方で、男が身体性を喪失した80

2019/06/06

テツ

日本のオタク黎明期から現在に至るまでについてその内部にいた著者が語る。今の若い子には(ギリギリぼくらくらいの年代まで)オタクという言葉にそこまでネガティブなイメージを抱かないのだろうけれど宮崎勤の事件が起きた当時は凄まじかったらしい。確かに今は漫画やアニメってサブカルチャーとは呼べなくなってきているくらいに市民権を得ているし同じようにカテゴライズされてもそれがマジョリティかマイノリティかによって人の目も内部の意識も随分変わるんだろうな。これからの30年でオタクという言葉のイメージもまた変化するんだろうか。

2020/10/08

阿部義彦

続編の「2階の住人とその時代」を先に読んでいたのですが今回はその先駆けともなった1980年代論をまとめた本を紐解きました。アニメに関しては私の興味の外なもので適当に流して、この本での私の眼目は三流エロ漫画誌と末井昭さんの作った「ウイークエンド・スーパー」「写真時代」と言ったドカタの読むエロ本を全く違うサブカル色の強い読み物にした背景そして吾妻ひでおを嚆矢とする可愛いエロの出てきたその文化的意味です。吾妻ひでおさんが二度も疾走をしてつげ義春以上に、つげ義春の世界を生きて今に至るなんて至言でした。

2018/07/28

かんがく

エロ本、少女漫画、AV、プロレス、都市伝説、ニューアカ、そして宮崎勤、天皇など80年代の様々な事象をポストモダン的な様々な理論を使って批評・分析していく。筆者自身が当時の出版や広告業界に身を置き、宮崎勤事件にも深く関わっているため、当事者の言葉として面白く読めた。

2023/12/17

かみしの

80年代とはどういう時代だったのか、ということを語る上では欠かせない視座だろう。ロリコンまんがと自ら述べる雑誌の編集をしていただけあって、フェミニズムや女性性という性の問題が多く書かれている。宮沢章夫や浅田彰が「非身体性」「記号化」というところの具体例が、網羅的に著述されている。エロ漫画が消した男性性と身体の矛盾を孕むアイドル、「新人類」は差異化の一巻、湾岸戦争の声明は「文学者」たちによる80年代への手打ち、再定義といったあたりの覚めた目線は優れて批評的だと思う。自意識というのはやはり重要なタームと思う。

2017/06/21

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