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文学の読み方 (星海社新書 94)

文学の読み方 (星海社新書 94)

文学の読み方 (星海社新書 94)

作家
さやわか
出版社
星海社
発売日
2016-09-22
ISBN
9784061386006
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文学の読み方 (星海社新書 94) / 感想・レビュー

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やすらぎ

新しい表現はいずれ自然と受け入れられていくが、いつの時代も否定されてしまう。文学は現実を描くものなのか、読者が感情移入しやすいようにするものなのか。読者側はどう読むのか。描写は細かいほうがいいのか、空気感を重視するのか。優れているという判断は何を基準にするのか。作者の気持ちが伝わってこないから非なのか。人間性の濃さがないから浅いのか。評価を受けても語り継がれないもの、候補に上がらず支持を得るものもある。読みたいものを求め続ける私たちがいる限り、物事や景色、感情を文字だけで表現する文学は生まれ続けるだろう。

2023/12/14

さらば火野正平・寺

星海社新書はちょいちょい面白い本を出すので油断ならない。「文学」という概念に疑惑を以て眺めた日本近代文学史。面白い。村上春樹があれほど人気がありながら、微妙に不遇な感がある理由が解った気がする。文学には人間は描けない。そう言われればそんな気もする。たぶん文学の基準は人それぞれで、雰囲気によるところが大かも知れない。誰と誰に評価されているかも大きいだろう。しかし冒頭の、又吉直樹『火花』への和田アキ子の言及は、アッコの相変わらずのデリカシーの乏しさによる気がする。まあ文学が雰囲気ならば、批評もまた雰囲気か。

2020/12/02

harass

レビュで気になっていてようやく図書館に入ったので借りる。初読み著者。若手サブカルライターらしい。又吉直樹の芥川賞受賞や村上春樹作品への先輩作家たちの批判から始まり、日本小説の起源と歴史、そして「文学」とは何かを論じる。聞いたことのあるのトピックが多く、結論は誠実な落とし所で、少し釈然としない気持ちもあるのだが、これ以上無駄な論議をしなくてすむ。上手くまとめて読みやすく、一気に読み終えた。なかなかの書き手ではないかと感心。唸るところも多く良い本。おすすめ。「文学とは錯覚である。だけどもこだわり続けたい。」

2017/06/22

ロマンチッカーnao

純文学とは何か。そんな定義はない。大衆化された文学とわけるために純粋な文学と営業的に区分けしてみただけの事であり、損失的な純文学などはどこにも存在していない。純文学が、現実も人も人の心も描くことなどできない。出来たと思っているのは錯覚である。エンタメ、ライトノベル、ミステリー等々の中の一ジャンルとして芥川賞という権威と共に存在しているのが純文学というものである。明治以降の日本の文学史を読み解きつつ、丁寧にそして簡潔に読みやすく解説してくれています。賛同する、しないはあるだろうけどかなり良い本でした。

2018/01/14

おおにし

「文学とは、人の心を描くものである。」「文学とは、ありのままの現象を描くものである。」この2つの錯覚が明治時代から日本文学界を支配してきた。村上春樹が芥川賞に2回ノミネートされても受賞できなかったのは、ここに原因があった。芥川賞の審査はこの錯覚の元で行われ続けたため、賞の権威は低下してしまい、今では作家の経歴や話題性が作品の内容よりも受賞を左右しているのではないかという指摘には私も同意。それでは、この日本文学の錯覚をどう解消していくべきか、そこまで論じてほしかった。

2017/04/29

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