星の海にむけての夜想曲 (星海社FICTIONS サ 2-1)
星の海にむけての夜想曲 (星海社FICTIONS サ 2-1) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
ポスト3.11小説で思い浮かぶのは急激な情報爆発を元ネタにした神林長平氏の「僕らは都市を愛していた」だ。佐藤友哉氏は、この小説であの3.11を空に咲いた花の花粉で虐殺に奔る人々と花粉病の恐怖を持ちつつも生きる人々として描いている。だが復興、追悼というあの日からの付随テーマとはとんと無縁だ。否、むしろ、放射能関連のことは腫物扱いになっているこの時勢ではとんでもないことをぶちまけている。それでも彼のこの小説には細やかな愛や希望に満ちている。それは叫び過ぎて偽善とも無関心ともなってしまったテーマよりも胸に届く。
2013/05/08
ぐっち
佐藤友哉さんって「ストーリーセラー」にも書いてた方ですよね?出版社名にかけた設定が面白い。空一面が花に埋もれた世界の1000年…この世界で生きていくしかない少年少女の関係がいいな。この4倍か5倍か…この世界の設定を詳細に描ききってくれたらもっとよかったかもです。
2012/10/14
えっちゃん⊿
断片が散りばめられているような話だった。月とか星とか宇宙はほんと美しい。タイトルと表紙が美しかった。中身もカラーの絵が使われてて珍しいと思ったし、鮮やかな本。核を子どもってかいてた。
2013/01/23
さく
ある日突然空に花が咲き乱れ、その花粉に感染した人は周りの人々を殺戮し始める。花粉を避けるために人間は地下フェルターで暮らすようになった。星を見たことのない子どもたち。千年に渡る、見たことのない星空を見るための僕たちの物語。
2015/04/08
ハルト
空に花が咲くことによって人類が滅亡するかもしれないという、滅びの美しさと人の儚さ。花に覆われてしまっても地球に届いているはずの星の光、人間の希望。空に絢爛に咲く花と地上の血と狂乱。核でなんか人類は滅ぼされない。未来はどんなかそけき光であろうともあるんだと、そう心震わせられました。とってもよかったです。
2012/09/05
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