子守り唄の誕生: 五木の子守唄をめぐる精神史 (講談社現代新書 1190)
子守り唄の誕生: 五木の子守唄をめぐる精神史 (講談社現代新書 1190) / 感想・レビュー
にゃん吉
幼くして厳しい奉公に出された境遇への哀しみ、奉公先の主人への反感、同輩の守り子集団内の諍いや共感(歌で悪口の応酬をするけんか唄の形式をとることもあり)といった、子供を眠らせ、あやす「子守唄」ではなく、労働歌的な「守り子の唄」。決して多くない残された子守唄のわずかな歌詞を手がかりとした著者の分析、解釈により、五木の子守唄の多様な貌が示されます。紀州山師とその娘の五木地方への流入と、紀州の子守唄の歌詞の類似性から、五木の子守唄の起源を推定するところなど、なかなか興味深いものがありました。
2019/10/15
うえ
「村の娘仲間から排斥されていた守り子に夜這いをかけた若衆は,それが知れると,娘たちから嫌われたものだという(赤松「村落共同体と性的規範」)」「松永はその論考…で,みずからの仮説を提示してみせた。第一に,一向衆の禁制に反発した娘たちの抵抗」「第二に,防人の唄とする説」「第三に,乞食の唄という説」「第四に,朝鮮戦役に駆りだされた農民たちが…望郷の念を歌った」「第五に,朝鮮から連れてこられた陶工」「第六に,被差別部落の人々の唄だとする説」
2014/04/03
Ryukeion
教養、大切
2021/04/05
感想・レビューをもっと見る