江戸遊里盛衰記 (講談社現代新書 1224)
江戸遊里盛衰記 (講談社現代新書 1224) / 感想・レビュー
あなた
地方の遊女たちを見つめ直すことで、中央から語られがちだった遊女の歴史を語り直そうとしている。松本てふこさんの「よそ者として一心に踊りたる」の句をちょっと思い出した。あ、じぶん、よそ者だよね、というときに、ねっしんにやればやるほど、どこか集団になじんでいくなにか、と、やればやるほどずれていくなにか、がある。うちとけられるものと、うちとけるほどずれてゆくもの。そういうのを、おおざっぱにしないで、いつも感覚していたいよね、というのが物語の感性なんじゃないかと思う。話す、ということのねっこというか。
2021/11/30
ナツ
読みごたえがあって非常に良かった。よくあるメジャーな吉原や玉の井等の遊郭や赤線地区ではなく、なかなか知る機会の無い地方の遊里がメイン。各地区の成り立ちや特徴、他との違いなどもわかり楽しめた。
2018/05/26
kycorine
「遊女」という言葉がマイナスのイメージを持つようになったのはいつか。はじめは祭りの花形であり、また尊敬の対象でもあった「遊女」の転落の発端、移り変わりなどを江戸だけではなく地方からも理解できる一冊。単元が細かく分けられており、短い時間にも区切りよく読みすすめることができた。「遊女」とは何だったのか、が非常によく分かる一冊だった。
2010/11/01
fukura
花代の由来
2011/09/04
tkkr
遊里、遊女といったものにどうしても惹きつけらてしまう。遊女はかつて巫女であった。地域の祭りは、彼女らが多くの金銭的負担を担い行われていた。遊女は聖なる存在であり尊敬の対象であり、地域住民とともにふるさとを発展させる同志だった。その後、近代化とともに遊女たちに対する差別的な感情が増えていく。遊里が廃れ、その地の祭りが無くなるは自然の理と納得。伝統が消えることは寂しいと思っていたが祭りには金がかかる。そして、女が遊女となる根本には貧困があること。日本を陰で支えてきてくれた彼女らに対して祈らずにはいられない。
2016/03/23
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