マンガと戦争 (講談社現代新書 1384)
マンガと戦争 (講談社現代新書 1384) / 感想・レビュー
ゲオルギオ・ハーン
マンガが描いてきた『戦争』について、著者が戦後から90年代までの各年代から著者の直感で選び、各年代における戦争の描き方を考察している。あくまで著者の主観的な分析だが、片寄った内容でもなく、『BSマンガ夜話』で手法の分析パートを担当していたこともあり、鋭く書いている。戦争で戦いを経験した水木しげるは人の命に比べたらくだらないことである戦争のために戦死してしまう不条理を水木流のユーモアで描いているという表現が印象的だった。戦後の戦記モノは史実をそのまま使うが、時代が進むにつれてSF要素が強くなるように見える。
2023/01/29
jamko
『アニメと戦争』を読んだので漫画でも同じようなものがないかと探して読んで見た。手塚治虫、水木しげるから宮崎駿、エヴァンゲリオンまで、戦争を描いた漫画を時代の変化とともに論じた一冊。未読の作品ばかりだったけど興味深かった。戦地で生死を彷徨った水木しげるが獲得した普遍性。水木しげるの漫画読んだことないから読んでみよう。ただ戦争マンガの系譜を語るには短かったかなーと思う。取り上げられてる作品も少ないし。同テーマの評論本が他にもあれば読んでみたいな。
2021/06/19
おらひらお
1997年初版。20年前に刊行されたものですが、内容に古さを感じさせません。時代の背景を考えるうえで漫画も大事な資料であることをうまく示すことができています。特に本書のテーマである戦争については、うまくアプローチできる資料とも言えそうです。
2017/05/03
Takao
1997年12月20日発行(初版)。手塚治虫・水木しげるから、「宇宙戦艦ヤマト」「風の谷のナウシカ」「沈黙の艦隊」「新世紀エヴァンゲリオン」等の作品・作家を取り上げて論じている。書名の「戦争」が括弧書きになっているが、「カムイ伝」や「デビルマン」「ゴルゴ13」など「戦争」を広くとらえている。漫画で表現された「戦争」をどう解釈するか、著者の分析はかなり難しかったが、戦後世代が「戦争」をどうとらえてきたか考えてみる必要はあると思った。本書出版後の20年、日本は一歩一歩「戦争」に近付いているように感じる。
2016/12/26
seichan
敗戦後の手塚の活躍、GHQ撤退後の武道物や戦記物の復活、などなどから、戦争経験にまつわる葛藤や屈折、暴力と肉体性、革命、廃墟、などなど。つまり純然たる戦争ものではなく、「戦争や対立や暴力にまつわるイメージのマンガ上での変容」をたどっている。取り上げられてるのは、手塚、水木しげる、紫電改のタカ、サブマリン707、滝田ゆう、林静一、佐々木マキ、デビルマン、ヤマト、AKIRA、山本直樹、沈黙の艦隊、ナウシカ、97年の本なので、最新がエヴァや覚悟のススメまで。総花的だけど楽しく読めたし、こんな切り口も良いよね。
2020/11/27
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