演劇入門 (講談社現代新書 1422)
演劇入門 (講談社現代新書 1422) / 感想・レビュー
アナーキー靴下
著者の演劇や作品に触れたことはないが、エンデの『遺産相続ゲーム』愛蔵版解説、演出家視点での辛辣評価が非常に的確で興味を持った。お気に入りの方のお陰で本書に出会ったがこれまた的確な良書。リアルな台詞や対話について等、全ての説明が明晰で興味深い。「世界を、ありのままに記述したい。私の欲求は、そこにあり、それ以外にない」著者の表現の欲求は私にとっては死生観そのもの。死にゆく人は自ら過去となり縁となる、遺す人が絆を胸に歩いてゆけるように。私はそんな贈り物はいらない、格好つけは沢山だ。その時の為に表現を追及したい。
2021/09/09
マエダ
様々な本を読むことを心がけてはいても、演劇はちょっとと無意識のレベルで遠ざけていた凡庸を恥じる。だがなんやかんやで辿り着くセンスと運。素晴らしい一冊であり読んでよかった。
2018/02/14
ホークス
良書。演劇でイデオロギーや主義主張を伝えられる時代は終わった。テーマを訴えるのではなく、感じたままに世界を表現すれば良いとの主張に共感した。戯曲に対する疑問にもよく答えてくれる。 観客に情報を伝えられる良い台詞は、登場人物間に情報量の格差が無ければ生まれない。素人演劇の台詞が説明的になるのは、この原理を知らない為。日本語は余所者や対等な相手と話すには不向きであり、我々の社会や気質と符号する。演出家は権力性を自覚すべきという話、一方的抑圧的な表現は無効だとの話に著者の人間観が現れている。
2018/11/10
サンタマリア
ちょっと前に観劇して興味を持ったので読んだ。観劇する上でのコツとかを知りたかったが、微妙に違った。それでも興味を引く箇所はいくつかあった。例えば、ギリシャで演劇が発生した理由とか。この読書体験を有意義なものにできるかもしれない。『民主政治、市民社会とは、コンテクストの共有を急がず緩やかに行っていく社会である。』
2023/07/18
Nobuko Hashimoto
オリザさんの他の著作におおいに感銘を受けて、教育手段としての演劇の可能性に関心を持つようになった。本書は戯曲の書き方の手ほどきから始まって、現代演劇の根本を考察するもの。そもそも、映画やドラマと、舞台劇の戯曲とでは、目指すものやつくりかたが全然違うことがわかった。でも、作り手の深い教養、知識、哲学から抽出されたものが作品に反映されて初めて作品世界に厚みや深みや「リアル」が生まれるのは、あらゆる表現に通じることだろうな。ああ、豊岡演劇祭でオリザさんの作品観たかったなあ! あっというまに売り切れでした😢
2020/08/29
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