うたと日本人 (講談社現代新書 1513)
うたと日本人 (講談社現代新書 1513) / 感想・レビュー
うえ
「『古事記』に、 葦原中国を言向け和平しつる状を、復奏したまひき とある。それまで「言問ふ」存在で、反抗して不平を鳴らしていた相手を沈黙させるのが、「言止め」である。「言止め」るまで、相手を訊問し、糾問し、「言向け」追いつめねばならない。折口は「ことどふは、かけあいの詞を挑みかける義で、嬥歌会の場などに言ふのは、覆奏を促す呪言の形式を見せて居る」と言っている。また「かけあひの古義は、祭りの場に来臨する神と土地の精霊との問答であつて、此間に交される呪言が次第に発達して、歌問答の形を完成する」とも述べている」
2018/12/24
やまぐてぃ
日本人は歌い続けてきた。うたはあらゆるものとの戦いから生まれた魂の叫びだった。著者はそういう文脈で、近現代の短歌を批判する。短歌は文学を志向しすぎた。本来うたは魂のこもったものだと。古代の和歌から民謡までを、魂を感じながらたどっていく。
2014/01/29
Kouji TANAKA
また再読したい。興味深い本でした。
2016/07/26
miyuki
再読。著者は圧倒的な知識でそれなりの論を展開している。あとがきまでよむと、この本の「うた」への抱負や期待というものが感じられる。折口信夫説に簡単に反対できる目の付け所はなかなかであるが、理論がしっかりやはっきりしていないところもあるので、感性の書とおもうべきか。学術には役立たないかもしれないが、詩作には役立つところもありそうである。
2016/03/15
miyuki
11月5日中に。 この本は「うた」というものの根底に流れている精神について、歌謡の側面から文学の中の「歌」の精神性をみている。というのも、引用される歌が「おもろさうし」や古代歌謡からはじまり、ほかに万葉集の歌謡(うたううた)から和歌(よむうた)になりゆく側面を捉えたり、その或る一方面でその抒情の眠っているというふうに中世歌謡や連歌――そして俳句に著者なりに繋げているため、大きく詩歌という括りでみたときにとてもおもしろい。 うたの在り方を失っている現代短歌や、詩(うた)を愛する者には応用がきく考えであろう。
2014/11/05
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