新宗教と巨大建築 (講談社現代新書 1580)
新宗教と巨大建築 (講談社現代新書 1580) / 感想・レビュー
nbhd
ヨーロッパの教会が当たり前に建築美術史に出てくるのに、日本の宗教建築ってそんなに知らないよね、ってところをうまくつついた本。建築史家が新宗教・新々宗教の巨大建造物を歴史や教義の面から分析する。そういえば、数年前に月イチで奈良に通っていたころ、若草山より法隆寺よりも感動したのは、宗教都市・天理の巨大建築だったことを思い出した。なるほど、「ぢば」とか「真柱」とか「甘露台」とか天理教の教えは建築的なエレメントに満ちていて、教義と建築の一致にうなずかされることが多かった。
2017/05/19
Yasomi Mori
オウム真理教のサティアンは雑然とした工場風で美学の欠如した様が話題になった。だが当時は開祖からわずか10年、教祖も存命中。歴史的にみても、その段階で洗練された建築を完成させた宗教はない。キリスト教であれば当初弾圧され、300年地下活動をしていた。単純比較はおかしい。/布教のメディアとしての建築という視点から、これまで軽視されがちだった新興宗教の建築を再評価する試み。天理教、金光教、大本教の入門的概説にもなっており、いずれも関心のある教団だったのでありがたかった。宗教都市・天理市、ぜひいちど見学に行きたい。
2017/09/30
OjohmbonX
宗教建築は、その宗教の教義や形成過程と不可分なはずで、建築物のスタイルだけを云々するだけでは不十分なはずだという問題意識から出発する。特に明治期以降の新興宗教は(仏教やキリスト教建築と異なり)「いかがわしい」「怪しい」という先入観で建築も評価されがちだという。天理教は、単に本部の建築だけでなく、まちづくりまで発展していくのがやはり特異だ。各宗教建築が、寺や神社など既存宗教の建築の要素・モチーフをどういう経緯や意図で取り込んでいるのか、あるいはズラしているのかといった解説も面白かった。
2024/02/16
★★★★★
天理・大本・金光の三団体を中心とした、新宗教の建築や都市計画を分析し、その世界認識を建造物を通して探ろうという趣旨の本。新宗教そのものへの理解には浅い部分も見られますが、視点は大変興味深いものでした。まだ学生のころ車に寝泊りしながら旅をしていて、金光町へ見学に行ったときのことを思い出しました。
2009/06/01
やまぐてぃ
宗教の空間概念は建築の様式を規定する。しかし古くからの寺社の建築が称賛される一方で、比較的新しい新興宗教は何となく敬遠され、その建築は無視されてきた。言われてみればオウムのサティアンも宗教建築なんですね。聞いたことのない新興宗教もたくさん登場。天理市みたいな宗教都市に行ってみたい。
2012/08/29
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