カーニヴァル化する社会 (講談社現代新書)
カーニヴァル化する社会 (講談社現代新書) / 感想・レビュー
けんとまん1007
なかなか面白い視点だなと思う。「熱しやすく覚めやすい日本人」という言葉が浮かんできたが、それとシンクロさせながら考えてみると、なるほどねえと思える点も多々ある。いろんなことがイベント化し、短期的で一過性、そんな動き方・考え方をする人たち(部分)も増えてきていると思う。生産するのではなく消費すること、自分の嗜好性よりも前にあるのが、世の中で売れているもの・持っているものという傾向。正直、消化不良ではあるが、面白い部分がある。
2014/10/13
白義
伝統的に文学がしてきた仕事が最近ますます社会学にとってかわられてる、と実感する本。ネット上のお祭りに労働問題、監視、携帯という一見全く異なる問題を、軸を失った個の終わりなき自己言及と自己確認スパイラルをキーに繋げ、後期近代という今の社会の輪郭を写している。再帰的近代、反省的視点の消失、という言葉を効いてある程度のイメージが湧くくらいの事前知識があったほうが楽だけど、説明は丁寧だからあまり気にする必要はない。感動やネタコミュニケーションの自己目的化ときいてピンとくる人、自分がそうしてる人はよくわかるはず
2011/10/05
なつきネコ@中の人だよ!
一章の雇用形体のあり方と若者は納得し、当事者としては共感できてしまう。労働が流動的になり、自己意識と仕事の間に苦悩する。もうバブルの夢は見れないのに、観念と社会観に変化はない。もう、労働は現状を維持させ、それ以外に自己意識と幸福感を満足させるしかなく。ある種、それがカーニヴァル化していく潮流の一つな気がする。それに携帯やネットが乗っかっていく。そもそも、経済はカーニヴァルのような物、だから、祭りが終われば寂れる、嫌なら、祭りを続けてるだけ。祭りに依存する社会はうまくわけがなく、経済は破綻するのは自明の理
2016/07/30
リップ
新書はあまり読み慣れていないので難しい…。私が読み取れた大枠としては、雇用形態など周囲の環境が変わるにつれて、若者の考え方の根本が「将来」から「現在」に変わっているということ。終身雇用や自営業を継ぐなどの社会的に将来を保証してくれる制度が崩壊して行っている中で、今が楽しければ良いという風潮が起こっている。今までの主我と客我によるアイデンティティ創生の仕組みから外れた、言わば主我と客我が切り離された状態の若者が、アイデンティティの支えを失うことで自己の無い「やりたいこと」や「夢」に縋り付いてしまうのである。
2014/10/30
ほじゅどー
★★★地域共同体への帰属意識も薄れ、伝統に従うこともなく、一貫性の維持が困難な現代。個人の選択は場当たり的になりつつある。従来の共同体に代わって「繋がり」による瞬発的、暴発的な一時的な盛り上がり(祭り、カーニヴァル)が集団への帰属感となりつつある。カーニヴァル化が政治・経済に与える悪影響として、おもしろくなくなると祭りは放棄されてしまうことがある。本書が執筆された2005年に比べTwitterやFacebookが一般化してきた2013年の現在、この傾向はより顕著になっている気がする。
2013/04/21
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