口承文芸史考 (講談社学術文庫 70)
口承文芸史考 (講談社学術文庫 70) / 感想・レビュー
うえ
「神話が歴史ではないということは、かつて一だびはその通りの事実があったと信ずる者が、この世にあったということを、打ち消そうとするものではないだろう」「同じ書物のでも数少なきものは退き隠れている。いわゆる底本の権威は専横になったきた」「文芸は常に一定の方向に導かれていたのであった。これも芝居者の逸話に残っているが、ある田舎では馬が非常に好きで、馬の出ぬ芝居にはすぐ退屈してしまう。そこで妹背山だろうが千代萩だろうが、「馬を出せエ」と見物が騒ぎだすと、ぜひもなくその舞台へ馬が乗り込んでくることになっていた」
2017/12/06
西葛
20世紀。「研究」の名の下に全国の「説話」「民話」「昔話」など口承文芸を調べようとしても、そもそもの定義がない。同僚は好き勝手に採集するものだからてんで進まない。当時の研究の気苦労がまず伺える。「踊り」というものがそもそも「説話」を保存する一つのソフトであったという見立て、なるほど。
2022/02/20
感想・レビューをもっと見る