中国古代の文化 (講談社学術文庫 441)
中国古代の文化 (講談社学術文庫 441) / 感想・レビュー
みのくま
著者によれば、本書は文化、民俗、社会、政治、思想の5部構想の第一部として書かれたものであったらしい。おそらく本書と「中国古代の民俗」の二書しか出ていないため、この構想は頓挫してしまったと思われる。内容は、漢字の成り立ちから無文字時代の中国古代の文化を考察する興味深い論文で、特に「臣・民」の字が「目」と関係するという所などは面白い。ただ実はより興味深かったのは、著者が古代日本を視野に入れて研究している点である。「巫祝」の項が顕著だが、中国古代から日本の古代をあぶり出そうとしており、特に万葉論はすぐ読まないと
2020/10/18
roughfractus02
文字を画として諸要素に分解し、それら要素の他の文字での用法と比較して再構成するという手順を経ると、文字の中に文字以前の声が聞こえる。東アジアの海洋民族が大魚から身を守るために刻んだ入墨の呪術に発する「文身」に始まり、文字の呪法が儀式となる際に祀られた青銅器から古代の神権的共同体を推測する著者は、文字を画の諸要素の関係に捉え直して仮説推量(アブダクション)の論理にかけ、意味に従属する記録資料の権力と距離を取る。原始法、巫祝と政治の分離に始まる芸能文化は、巫女を前線に立てる戦争(旅)と密接であると仮説される。
2020/12/13
ゆうきなかもと
昔、読んだな
とんこつ
深いコンセプトに裏打ちされた重厚な一冊だった。本書では古代中国の生活に係る多岐の文化的事象(文の理念、神話、秩序の原理、古代の原始法、呪術、歌舞・芸能、文字の成立)とそれに関連する文字を考察し、そこには古代の世界を貫く秩序があると氏は考える。それはすべての存在は聖なるものであり、また聖化されるべきものであるということ。古代中国の底流には宗教的な原理が働いているということ。古代日本を考えるには東アジア文化圏という広い視野が必要だと氏は述べるが、本書に浮かび上がる古代中国の世界から日本文化の元素が確かに映る。
2018/07/03
hachiro86
鮮烈な古代文化論
2009/06/29
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