言葉と悲劇 (講談社学術文庫 1081)
言葉と悲劇 (講談社学術文庫 1081) / 感想・レビュー
白義
代表作「探求」を手掛けた頃の講演集で、江戸思想の朱子学批判に近代日本の西洋哲学批判=ポストモダンの先取りを見る「江戸の注釈学と現在」のような、日本のポストモダン思想の安易さ批判するような講演もあって面白い。スピノザ、ドストエフスキーなど多彩な話題が展開されているが、どれも「自己や共同体に先立って存在する他者」とどう向き合うかと言う話であり、また自己や共同体をいかに確立させようとも必然的にそういう他者は現れるのだ、として世界の根底的な多様性を捉えようとしたものだと言える
2013/11/24
なっぢ@断捨離実行中
探究(1、2)期の講演録を中心に。当時の柄谷がいかに共同体的な思考の「外部」に出るかを模索していたかがよくわかる。本書で肯定的に引用されるのはデカルト、スピノザ、マルクス、キルケゴール、フロイト、レヴィナスらユダヤ的(亡命者)な思想家だ。「他者」を見出だすとは徹底的に共同体の外側(砂漠)に立つことであると。ここまで来ると現代思想がなにか未だ来らぬ神「他者」を根底に置くユダヤ教の一種なのではないかとさえ思えてくる。ともかくフロイト『モーセと一神教』が重要らしい。いい加減フロイトも読まんとなー。
2017/03/22
Z
を歪めているので、そのような障害を取り除こうという運動(規制緩和や労働市場の自由化など)になる。マルクス主義はソ連の崩壊でひとまず沈静化したとし、ここで新古典派について考えたい。岩井克人という経済学者がいたが、この人の仕事は結論だけいうも、そのような規制がない状態を想定すると、不均衡動学過程となって市場が安定するどころか撹乱することにしかならないことの証明である。このことは、安定化するシステムは逆に非安定的なシステム要因を内に抱え混まないと機能しないということである。明示的なシステムからスタートすることを
2018/03/14
Z
『探究1二』を書き上げてる最中の公演、論文を集めた本。よって探究につま付きなり、敷衍したかったらまた読もうと思うが、冒頭の講演は氏の探究を書き上げる動機を要約しておりなかなか鋭い。例えばサイバネティックスなどは意識がなくても主体を導入するシステムであるが、経済学の思考法は始めに均衡システムを作り、そこから不均衡を二次的なものとして扱う。マルクス主義は不均衡の動因を労働力の商品化=労働力は物のように簡単には削除、変更できないことに求め、それをなくそうとする運動であり、新古典派においては規制なり労働組合が市場
2018/03/14
shouyi.
柄谷行人さんの講演集。何冊か著作は読んだが、講演は分かりやすかった。改めていつか読んでみたい。
2020/12/04
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