探究2 (講談社学術文庫 1120)
探究2 (講談社学術文庫 1120) / 感想・レビュー
chanvesa
「『他者』は、異者が実は内在的であるのに対して、外在的(超越的)である。それは超越者ということを意味するのではなく、いかなる意味でも(自己または共同体に対して異質であり)、後者の″疎外″や″理想化″として在るのではないということを意味している。…『他者』との交通には、一つの″飛躍″がともなう。(252頁)」社会が「身内」しかプレイヤーになれない言語ゲームに興じ、他者をはじき飛ばす傾向は揺るがない状況になっている。定量性への執着は、「無限の認識」である「『他者』の発見(335頁)」に対する忌避に通じるのか。
2018/09/23
ノブヲ
あれれ。「探究」とは他者を探し求める旅であり、てっきりそれは外部についての問題かと思っていたが、事態は急転、ヘアピンカーブをフルスロットルのまま回り込むようにして「自己」の問題へとすり替わる。つまり「私」についての問題へと。しかもそれは他の誰でもない「この私」についての問題意識である。主観と客観、内在と外在、有限と無限、それらについて鋭敏に論じられるが、その論点は、目まぐるしく入れ替わり続ける。そこには「痛み」がある。「哲学する」ことは分裂と統合の同時性であり、砕け散る自分を見つめることでもある。
2024/07/24
34
ママ、このひとのスピノザ解釈ちょっと変!ヘーゲルおじさんに教えてあげなきゃ!
2019/03/29
みのくま
本書は、國分功一郎「中動態の世界」や東浩紀「ゲンロン0観光客の哲学」のプロトタイプといえるのかもしれない。「探究Ⅰ」において独我論からの脱出、他者や外部を改めて定義し直した著者は、本書で内部と外部の「間」である「交通空間」に着目する。「交通=交換・コミュニケーション」を行う空間は砂漠=海=都市であり、東洋においては「道=理」である。そして、そもそも共同体(内部と外部の分割)が成立する以前から交通空間は存在した。そこでは交換と贈与(著者によれば贈与も交換の一形態)が行われると同時に、内部も外部も存在しない。
2018/04/14
記憶喪失した男
デカルトとスピノザとフロイトにめっちゃ詳しい。哲学案内書にはいいかもしれないけど、新しい知見をくれる本ではない。「探求」は西洋哲学ばっかりやってたらこうなるのかって典型な本だったよ。まあ、柄谷はガチ勢だとは思うわ。そこは評価するが。ちなみに「探求1」より「探求2」のが面白い。
2016/01/22
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