カフカのかなたへ (講談社学術文庫 1314)
カフカのかなたへ (講談社学術文庫 1314) / 感想・レビュー
サンタマリア
自分がカフカの小説を通してそれぞれ感じていたことをより深い言葉に昇華してくれたり、新たな読み方を教えてくれたりと有意義な時間になった。一番好きな短編「判決」についての解説が滅茶苦茶面白くてますます好きになった。
2021/03/11
内島菫
『審判』のヨーゼフ・Kの罪は、著者の考察と異なり、私は後付けのもののような気がしている。著者は「ヨーゼフ・Kは本当に「なに一つ悪いことをした覚えがないのに」逮捕されたのだろうか?」と疑問を持っているが、わたしは言葉通りヨーゼフ・K個人としてはなに一つ逮捕されるような悪いことはしていないと考えていいと思う。著者はヨーゼフ・Kの逮捕以前の生活を伝える唯一のエピソードとして「検事」の断片を読んでおり、そこに逮捕の理由が隠されているのではないかと考察する。
2018/02/22
三柴ゆよし
カフカという作家の生涯を、あくまでその作品に即してなぞっていくという趣旨。余計な解釈・意味づけが退けられているところに好感が持てる。著者の言を借りるなら、「やはり作品にもどって、自分の目で楽しむのが第一」なのだ。カフカにおいては、それが特にあてはまる。いかようにも解釈できる。カフカを読む、ひいては小説を読む最大の楽しみだろう。作家への愛を感じる一冊。まずは作品に触れ、そのうえで彼の人となりに興味を持ったら手にとってほしい。
2010/05/15
501
カフカの息遣いが聞こえてくる。
2014/02/22
Tonex
1991年から2年間『ユリイカ』に連載され、1993年に青土社から刊行された単行本を、1998年に文庫化したもの。あとがきによると、池内紀が初めて書いたカフカ本だったとのこと。(カフカの翻訳本はすでに何冊か出していた。)学術的な本ではなく、読書ガイド的なエッセイ。カフカの生涯を追いながら、ほぼ年代順にカフカの代表作の内容を紹介。
2015/11/14
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