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<戦前>の思考 (講談社学術文庫 1477)

<戦前>の思考 (講談社学術文庫 1477)

<戦前>の思考 (講談社学術文庫 1477)

作家
柄谷行人
出版社
講談社
発売日
2001-03-09
ISBN
9784061594777
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<戦前>の思考 (講談社学術文庫 1477) / 感想・レビュー

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壱萬参仟縁

1994年初出。産業資本主義がネーション=ステートと結びついていることは、重要(11頁)。資本そのものはトランスナショナル(12頁)。デモクラシーで重要なのは、人民の意志が基底にありながら、何であるのかを誰もいえないことにある(48頁)。シュミット曰く、民主主義の本質は、人民の同質性で、異質なものを排除することにあるという(56頁)。自由と平等は背反する(69頁~)。平等は、富の平等(分配的正義)を意味していなければならない(72頁)。

2015/09/29

amanon

講演集ということで読みやすいが、内容はかなり高度。それから著者後書きを読めばある程度納得できるが、このタイトルは本書の内容をちゃんと言い表しているように思えないというのがちと気になる。それにしても、本書が世に出てはや二十年を経ても、柄谷が投げかける問題意識は今日でも殆ど古びていないということに驚かされる。折しも偏狭なナショナリズムが勃興し、国民不在のまま重大な法律がすんなり通ってしまう昨今。そんな中で本書が掲げるナショナリズムや議会政治、自由についての言説は読者に少なからず示唆を与えるに違いない。

2014/10/16

カラス

講演録なのでとても読みやすい。一貫しているのは、「転倒」を暴き出すというスタイルで、『近代文学の起源』の変奏に見える。独特の日本人論で、歴史性を踏まえた上で日本人の個性を語るべきであり、超歴史的な「個性」が存在するかのように仮定するのは間違いというスタンス。『文字論』において語られた、漢字仮名交じり文という表記法こそが日本人の個性を決定づけているという論は面白かった。しかし、いくら識字率が高いとはいえ、文盲の人も結構いただろうに、それはどうなん?、とも思った。

2020/01/07

ピラックマ

<戦前>の思考とは文字通りではなく 戦争前夜の思考とはいかにって意味。なんとなくナショナルな風が強くなってきた昨今是非読むべき本の一冊。 内容は以下の講演集 ・帝国とネーション ・議会制の問題 ・自由・平等・友愛 ・近代の超克 ・文字論 ・双系制をめぐって ・自主的憲法について ・韓国と日本の文学 ・湾岸戦時下の文学者   柄谷氏の本を読むと知的興奮は凄いんだけどヒトが言語を持ち交換を始めた時からもうどうにもならないんじゃないか?といつも絶望する。

2011/12/13

桜井晴也

「産業資本は、それが存続するために、たえまない技術革新あるいは社会的な関係の革新を必要とします。それが進歩するのは、それは、「進歩」という観念のためではなく、資本が存続するために不可欠だからです。さらに、資本制生産は、信用の体系のなかでなされています。つまり、簡単にいうと、自転車操業のようなもので、少しでもストップすれば崩壊してしまいます。それは、たえず決済を先送りにしている運動です。時折、その決済をしなければならないときがあり、それが危機(恐慌)です。」

2010/10/10

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