奇蹟審問官アーサー: 神の手の不可能殺人 (講談社ノベルス ツG- 2)
奇蹟審問官アーサー: 神の手の不可能殺人 (講談社ノベルス ツG- 2) / 感想・レビュー
財布にジャック
あらら?「カタリ派」いつ出るのと楽しみにしていたら、グノーシス主義に言及するだけで、登場はしませんでした。でも、バチカンの神父さんが探偵役で、奇蹟審問官なる役割のアーサーさんが大活躍で、しかも久々の本格推理だったので、読み応えがありました。やっぱりミステリーは密室とか殺人そのもののトリックとかを自分なりに頭を捻り推理し、探偵にその謎を解き明かされるまでのワクワク感が最高なんですよね。わぁ~っ、本格ミステリーが大好きです!
2011/08/22
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
長身痩躯、漆黒の髪に黒い瞳、全身を覆う黒い僧衣のようなガウンを着たバチカンの奇跡審査官アーサー・クレメンス。南米の小さな町で起こった教会焼失に伴う奇跡の十二使徒の話を調べるためにやって来た。十二人から話を聞いているうち、使徒のひとりが人間わざとは思えない方法で殺され、2人目、3人目の被害者が……。不可能犯罪解決に挑むアーサー。福者・聖者の認定、神学的、哲学的な話、グノーシス主義など衒学風味も加わって楽しい。
2016/09/20
二分五厘
奇跡的な偶然から事故を回避した幸運な生存者達が、運命の輪に囚われて次々と死んでいく…そんな映画もあったな。集う時間に起こった教会の火災を、全員が別の事情で遅刻して回避した現代の聖者"十二使徒"だが、その真偽を判定するためにバチカンから現地に派遣された審問官・アーサーの前で、十二使徒が次々と不可能状況で殺されていく。更にその死体は、偶然の?自然現象により消えていく。天に在るものの意思か、その啓示か。ありえない偶然と殺人者の意思、そして異常な動機。宗教観にはついていなかったけど、長さを感じないミステリでした。
2020/06/27
つたもみじ
刺殺、空中射殺、撲殺、扼殺…見えざる手による不可能犯罪が、十二使途を次々と殺していく。その遺体はまるで神が回収していったかのように人々の元から消えていった。バチカンから「十二使途の奇跡が起きた地」へ派遣されていた奇蹟審問官アーサー・クレメンスが、この不可思議な事件を科学的、論理的な視点で読み解いていく。それに加え、神の奇跡、福者、聖者のバチカンによる認定、グノーシス思想等々、宗教的視点からも楽しめた一冊でした。
2013/06/23
小物M2
不可能犯罪好きには堪らない作品。とにかく、不可能犯罪のオンパレードで、目撃者が存在し誰もいないはずの部屋で刺殺、至近距離からの空中射殺、密室状況での撲殺、見えない手による絞殺などいずれも不可能性が非常に高い。それを科学知識を交えて論理的に真相を明らかにするのは鮮やか。特に、見えない手による絞殺のトリックは見事。また、宗教ならではの動機も新鮮に感じた。カバー裏に書かれている「島田荘司を継ぐもの」というのは、あながち間違いではない。ただ、相変わらず物語と登場人物の魅力が乏しいのが少々気になる。
2013/02/13
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