陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず) (講談社ノベルス キF- 11)
陰摩羅鬼の瑕(おんもらきのきず) (講談社ノベルス キF- 11) / 感想・レビュー
勇波
「林羅山」の計略にまんまと嵌った我が国日本。京極によるこの論旨には全く瑕が無い。これだけでもクソ分厚い本を読んだ甲斐がありますな。さて今回の物語は前作の『宴の狂騒』とは打って変わって伯爵の「生きて居るということとは」という瑕を抱えた認識を巡るとっても哀しい物語。前作で深い瑕を負った関口君が伯爵と関わる事により「関口巽」の本質が垣間見えるという興味深い内容にもなってます。もう一人の主役である伊庭元刑事の活躍も素晴らしい。そして今回の探偵は…。食っちゃ寝したあげく『陰摩羅鬼』をぶち壊して終了って、オイ(笑)★
2016/09/28
優希
ノベルズで再読です。シリーズの中ではシンプルで読みやすい作品になっているのではないでしょうか。そのせいか、前半で後々の展開が若干見えてしまいます。とは言え、どのように物語が描かれるのか気になり、読む手が止まりませんでした。犯人と仕掛けがわかったとしても重箱のような厚みで読ませるところは流石京極作品といったところでしょうか。シンプルな分、様々な要素を書き込んでいる印象を受けました。
2018/11/11
りょうこ
京極堂再読祭り中!この本からノベライズ版ででかくなってちょっと大変。まぁ今までも分厚くて大変だったけど(笑)塗り仏で一区切りついた感じでここからまた新たな京極堂!という感じ。今回はサクサクと読めた。関口くん...。
2015/03/15
星落秋風五丈原
前作『塗仏の宴』で一気に広げた風呂敷を閉じ、人間関係もコンパクト。『今昔続百鬼 雲 多々良先生行状記』収録の『古庫裏婆』で京極堂と出会った伊庭が再登場。関口は某有名作家との邂逅を果たす。謎の行方は、意外とオーソドックスな消去法の先にあった。現在との既視感を感じたのは、京極堂が伯爵に死ぬとはどういう事かを説いてゆく場面。 「何故人を殺してはいけないのか?」に対するひとつの答えだと思う。 本作で由良家の子孫が登場した事で、もう一つの人気シリーズ『後巷説百物語』とのミッシングリンクが見つかった。
2005/03/01
MATHILDA&LEON
久々に読んだ、京極夏彦氏。辞書の如き厚さと重さの本は持っていて辛かった。。。物語は期待通り読み応え十分。このシリーズは、もの凄く哀しくて、救いが無く感じるのだが、今回は誰が悪いのかも分からなくなるし、ただただ辛くなる。しかし毎回ある妖怪談義や歴史の考察などは実に興味深く、“京極堂”中禅寺さんの博識っぷりに唸りまくる。読むのは大変なのだけど、私は大好きなのです。こういう類の本。
2020/03/17
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