空の境界 上 (講談社ノベルス)
空の境界 上 (講談社ノベルス) / 感想・レビュー
のっち♬
廃ビルに人形作りの事務所を構える魔術師一味が主役の伝奇ファンタジー。癖のある文体に加えて場面把握がしづらいプロローグはややとっつきにくい。時系列の乱立も諸刃になっていて話が軌道に乗り出すのは藤乃の登場から。登場人物は性格の二面性や造形の対称性が強調されており、進行と共に表題は正常と異常、肯定と否定、日常と非日常など様々な対項で多義的意味合いを帯びてくる。ロマンス、ミステリー、バトルとコンテンツも豊富。上巻はまだいずれにも徹し切れていない印象だが、矛盾螺旋あたりはユニークな着想。解説離れし過ぎな解説は退屈。
2022/06/10
合縁奇縁
『これぞ新伝綺ムーブメントの到来を告げる、傑作中の傑作!』二年間の昏睡から目覚めた少女・両儀式が記憶喪失と引き換えに手に入れた、あらゆるモノの死を視ることのできる“直死の魔眼”。浮遊する幽霊の群れ。人の死を蒐集する螺旋建築…。この世の存在のすべてを“殺す”、式のナイフに映る数々の怪異。正常と異常の境界で紡がれる新伝奇小説。収録章:1/俯瞰風景、2/殺人考察(前)、3/痛覚残留、4/伽藍の洞、境界式、5/矛盾螺旋を収録。作品全体の明度が低く落ち着いており、独特の世界観が格好良い。第1章から初見では分かり
2017/09/26
藤月はな(灯れ松明の火)
式と黒桐のやり取りが可愛らしいです^^橙子さんによる魔術についての説明はちんぷんかんぷんだったけど、「俯瞰風景」での生前と死後の時の速さが同じであることへの異常さでの説明は『だれの息子でもない』(神林長平)で考えたことと同じだったので嬉しかったです。「痛覚残留」では『ファイトクラブ』、「伽藍の洞」では『トータル・リコール』(2012年公開の映画の方)を連想。しかし、「螺旋矛盾」での巴君のイラストがFate/staynightの衛宮士郎に思えて仕方ないぞ・・・。
2015/05/07
扉のこちら側
初読。時系列を追おうとせずひたすら読むに限る。織になにがあったのか。中盤頃になぜか苦手感が出てきたが、ひとまず読了。
2010/02/05
とくけんちょ
なんだろうか、読み進めていくうちに、どんどんと期待感が高まってきた。時系列通りに進まない物語、ややぶつ切り感のあるキャラのつながりや各章、二重人格?魔術?何?っと、これがどう収斂していくのだろうか。なかなかボリュームのある上巻であったが、さらに厚い下巻へ続く。どこがどう噛み合うのか、楽しみではある。
2019/01/13
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