空の境界 下 (講談社ノベルス)
空の境界 下 (講談社ノベルス) / 感想・レビュー
のっち♬
下巻は荒耶との抗争を皮切りに両儀式を焦点に人間存在のパラドックス性に迫ってゆく。敵味方という外面ではなく複雑に屈折した内面境界をミステリー(時系列の錯綜はここでも空振り感)の山場に持っていく点や、"根源"に執着せずあくまで日常視点で進む姿勢、特に強烈な中二病演出などは90年代を感じさせる。恋愛のオチが単なる寂寥に着地しないのも、初めから平凡を求める幹也の"特別"性所以だろう。著者は相対的な特別化に狂奔する現代人の解離した極点の架け橋を彼に仮託している。頭をパックリ刺されてこれだと彼も結構な非日常だけれど。
2022/06/12
合縁奇縁
『その闇を見ろ。そして己が名を思いだせ-。』「直死の魔眼」を手に入れた少女・両儀式を襲う数々の怪異。死そのものを体現化した太極の結界。永遠を求める魔術師。式を苛む殺人衝動の先に、真実を告げる記憶の境界が開かれる!収録章:5/矛盾螺旋、6/忘却録音、境界式、7/殺人考察(後)、空の境界を収録。振り返れば二人の少年少女が出会い、寄り添い合うまでの物語でした。この巻で「矛盾螺旋」は終結を迎え、「忘却録音」「殺人考察(後)」へと繋がる。両儀式が彼女の物語以外の出会う怪奇としては、この巻では《忘却録音》のみに
2017/09/26
とくけんちょ
いやー、なかなかのボリュームでした。最後になるつれ、めちゃめちゃ恋愛要素が強め。そんなキャラだったっけって。結局、物語は完全に収束していないような、これはこれでいいのかな!?自然体での結末を迎えたような感じではあるが、いろいろと風呂敷を広げた部分がまだ未回収のような。最後、雰囲気勝ちの終わり方。好きな人は好きだろうな、これ。最後の解説の力の入り具合がハンパない!
2019/01/24
藤月はな(灯れ松明の火)
「矛盾螺旋」完結。橙子さんの奇策や巴君の決意で垣間見えた「本物と偽物があるならば、自己とは何か?」という問答は『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』みたいで興味深かったです。自分は刺されても何ともないのに力の劣る黒桐を何度も蹴りつけるアルバの身勝手過ぎる論理は本当に吐き気がしたので雑魚みたいな戯言は五月蠅かったです。やっぱり、才媛で烈女な橙子さん、好きだな・・・。過ちを繰り返す人間に絶望した荒耶に根源が「無価値」と言われた巴君だけど、彼の行動は状況を逆転させたのだから決して無価値ではないと思わずにいられない
2015/05/08
扉のこちら側
初読。特別とは何だ。空なのか。上下巻を行き来しながら再読が必要かも。
2010/02/05
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