QED ~ventus~ 熊野の残照 (講談社ノベルス)
QED ~ventus~ 熊野の残照 (講談社ノベルス) / 感想・レビュー
えみ
当時の時代背景や信仰から導き出す神々の逸話。それが現在のこの国を創っている。QEDシーリーズを読むたびに歴史の陰湿さや残酷さに触れて、重みを知っていく。第10作目の今作では、棚旗奈々と桑原崇と共に神山禮子が同行し熊野の地でその信仰を支える歴史の一端を紐解いていく。ある過酷な過去の出来事を背負う禮子の心の内を熊野三山の謎と重ねながら徐々に読者へ解き明かされていくが、何ともやり切れず切なく、その愚かな過去からの風習に怨みすら抱く。これが怨念だと、怨霊や鬼になるとはこういうことだと人と神の共犯が証明された一冊。
2022/12/10
とも
★★★ventusと副題されたシリーズの第二冊目。どうやらこのシリーズは、他のQEDとは異なり、ミステリーの替わりに、その地を散策しながらその所々に隠された史実を解明していくよう。当作は熊野三山の謎の解明だが、なにかしら読みづらいのは知見が少ないテーマのためなのか、主人公が変わったためなのか。どちらにせよ、これまでの作品に比べると見劣りすることは否めない。それでも、三山の名前の由来や有名どころでは八咫烏の謎などが多岐に渡り解明されていくので、この地を訪問する際には 是非とも当作品を持参していきたい。
2018/02/03
るぴん
図書館本。和歌山・熊野が舞台のQED第10弾。所々で過去の記憶が語られるが、ventusだから、直接の事件は起こらない。今回は学薬旅行で同行した神山禮子の一人称で語られるので、タタルや奈々、そして2人の関係が他人にどのように映るのかがわかって面白かった。熊野三山の祭神、参詣ルート、八咫烏の正体など、なるほどとは思うものの、今回はいまいち驚きが少なかった。あまり馴染みがないからかなぁ?最近まであったかもしれない那智の風習に絡む件は、後味が悪い。そうなる前に、家族を連れて集落を出ることはできなかったのか…。
2017/01/19
よっしー
今月に熊野付近に旅行に行く予定があった為、なんとなく再読。奈々やタタル視点で無い物語というのもどことなく新鮮ですね。二人の過去を追憶しながら進む物語。過去の内容は重すぎますが、奈々達にとっては事件が起こらない旅は珍しい気がします(笑 にしても、この作品は何度目の再読になるのやら…。
2018/01/02
Yuki
読んでいる途中に感じた違和感が、ラストできれいにまとまって、スッキリしました。事件らしい事件は起きなかったけれど、語り手の女性に起きた哀しい過去には胸が痛みます。昔話や伝説は、こういった哀しみを抱えているんだと思うと、色々知らなければいけないなあと感じました。それと、タタルさんと奈々ちゃん、この二人にも新しい物語が生まれて欲しいなと思います。
2015/08/19
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