奇蹟審問官アーサー死蝶天国 (講談社ノベルス ツG- 3)
奇蹟審問官アーサー死蝶天国 (講談社ノベルス ツG- 3) / 感想・レビュー
アキ・ラメーテ@家捨亭半為飯
バチカンの奇蹟審問官アーサー・クレメンスのシリーズ2作目。今回は短編集。民族のるつぼ宗教の交差点のような土地での殺人事件『バグズ・ヘブン』をかわきりに、今作でもアルプスの雪山からゾンビ伝説の残る南米の奥地などで不可能犯罪(?)を読み解くアーサー。どんな土地でもどんな人種、宗教の人に対しても偏見の無いアーサーの態度に好感が持てます。
2016/09/21
つたもみじ
奇蹟審問官アーサー・クレメンスが事件の謎を解くシリーズ三作目。短篇集。今までの二作品より、宗教議論的色合いが減っていますが、事件の動機はやはり宗教的心理が大きく関わっているよう。「聖なるアンデッド」腐らない死体、生きている屍、聖なる遺体。自らの信じる神と異端。狂信者になってしまう過程が垣間見える一作で良かった。ラストの「生まれゆく者のメッセージ」キリスト教ではなくチベット仏教においての転生がテーマの作品でしたが、こちらも興味深く面白かったです。そして今回も、アーサー様は素敵だった…。
2014/02/07
RIN
奇蹟審問官アーサーが探偵役となって推理を展開する短編集。キリスト教の神父ながら、科学的客観的視点を失わないアーサーの推理が冴える。と、同時に、真摯に信仰に向き合う宗教人というのは、因習や偏見、迷信に根拠もなく惑う人々の蒙を啓く役割も果たしていた?とすら思えてくる怜悧さが読んでいて心地よい。審問官に就任する前のアーサーの物語『サタンの僧院』を読んでからこのシリーズを読むと一層味わい深いかも。
2018/05/21
二分五厘
ヴァチカンの奇蹟審問官アーサー・クレメンスの事件簿。『バグズ・ヘブン』神憑り的な幻視・千里眼をもつ女性が密室で殺される。犯人が見落とした、第三の出入口に映える光景は何を語るのか。『魔界への十七歩』白魔の咆哮が響き渡る館。離れの死体と雪の階段の足跡。望みこがれた奇蹟が狂気を生み出す。『聖なるアンデッド』豪雨のペルーに顕現した奇蹟の永久遺体。アーサーのアクティブ奇蹟鑑定と災害対策。『生まれゆく者のメッセージ』チベット高僧の転生者探し。輪廻転生の世界は果てしない旅路を辿る。
2018/02/25
みお
メフィスト掲載分は再読。おもしろい!大好きなシリーズです。とくにお気に入りは『聖なるアンデッド』。島田荘司さんを彷彿とさせる幻想的な現象や謎とそれを論理的に解く大技。う〜ん、いい!アーサー神父の奇蹟審問官という設定もキャラクターも魅力的だし、もっと人気あってもいいように思います。アーサーとバランスのいい魅力的なワトソン役がいればもっと広く人気がでそうな気がして、こんなにおもしろいのに惜しいなぁ、と思ってしまいます。
2011/12/28
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