鬼神伝 (講談社ノベルス タS- 31)
鬼神伝 (講談社ノベルス タS- 31) / 感想・レビュー
海猫
構想はたいへん面白そうなのであるが、各エピソード掘り下げが浅く平凡で人物の造型葛藤も弱く、小説としての仕上がりが貧弱なのでかなり残念。作品を通して言おうとしているテーマもわかるのだけれど、読んだ印象だと図式化されすぎで「実は善と悪が逆でした」程度のことのように思えてしまう。単純に伝奇冒険ファンタジーと割り切って読もうにも、描写に臨場感がなくそれもまたしんどい。後半の神の巻になると神話大戦の様相を呈してくるのではあるが、地に足が着かないままスケールアップされても困る。好みの内容だけに、もどかしい。
2016/11/08
うしこ@灯れ松明の火(文庫フリークさんに賛同)
その日は朝からついてなかった。母親とはケンカするし、乱暴者の同級生に追いかけられて踏んだり蹴ったり。そしてとどめが遥か昔の平安京に飛ばされ鬼退治をすることになって・・。以前ミステリーランドから「鬼神伝 鬼の巻」「鬼神伝 神の巻」として出版されたものを1冊の本にまとめ加筆修正したものです。頼光とその四天王、小野篁、土蜘蛛や天狗、そして鬼や雄龍霊(オロチ)の登場など物語の世界観はかなり私好み。でもサラリと読める分ちょっと物足りなさを感じたのが残念。とりあえず続編も出版されているので読もうと思います。★★★
2011/05/08
柊龍司@中四国読メの会&読メ旅&読食コミュ参加中
ミステリーランドの二冊を一冊にして新書版で出ただけだったら買わなかったんだけど、映画化、更に続編も同時発売では買って続けて読むしかないですね。ただ読めば読むほどに思うのがこの作品を映画化したときになんだか鬼太郎の廉価版の様なちゃちな作品にならないことを祈るしかないですね。でも、子供向けに書いたものだっただけど、これを機にもっと信条とかいろいろ描き込んで貰いたかった。勝者が歴史を作って残し敗者には何も残らないということを全面に押し出した作品となっています。
2010/10/31
藤月はな(灯れ松明の火)
ミステリーランドで読んだ本がノベルス版になったので再読しました。私たちが学んでいる歴史は勝者のものであり、昔話や行事にもそのことは薄れつつあるということを描いた作品です。私たちはそのことを踏まえた上で歴史に向き合う必要性を教えられました。願わくばこの本がこれから歴史を学ぶ子供や歴史を学んだ大人達に多く、読まれますように。映画化、おめでとうございます^^
2010/11/05
てまり
4年前にミステリーランドで読んでいたので再読だが、細かいところはきれいに忘れていたので楽しめた。現実世界では寄る辺ない思いを抱いている少年が、タイムスリップした先では努力せずとも仲間も責任も得られる。今回は若干そういう甘さが気になってしまったけれど、少年が少年である時期は短い、きっと彼も変わるのだろう。ということで『龍の巻』に期待します。
2010/10/18
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