ロードムービー (講談社ノベルス ツI- 11)
ロードムービー (講談社ノベルス ツI- 11) / 感想・レビュー
ちはや@灯れ松明の火
胸の奥に焼きつけた景色がある。微かな匂いや何気ない音、そんな記憶をくすぐる些細な引き金で瞼の奥に一気に拡がり、見えない光がふっと灯る。そして、また前へと進む気力に変わる。彼等は道を歩き続ける。心細さもやるせなさも、口にしてしまったら何かが毀れてしまいそうで、ぐっと呑み込む。ふたり並んでいても、其々の道、いつかどこかで分かれていくと気がついている。だから今、一緒に見ている景色を心にそっと刻む。いつか立ち止まってしまった時、取り出して抱きしめられるように。離れても、いつかまた出逢えると、信じていられるように。
2010/10/25
ひめありす@灯れ松明の火
本当に死体を見つけたかった訳じゃない。ただまっすぐ続く線路を君と一緒に歩きたかった。遠く、遠く、何処までも行けたら良かった。美しい景色を、共に見られたらよかった。長い長い旅だけが、少年と少女の旅じゃない。光の様な君を追いかけた距離、いつか平気になるだろう記憶との付き合い方、雪の降る美しい景色を君に届けたくて小さな女の子の歩いた隣町、近い様で遠い何処にもない「トーキョー」、勇気をくれる君の部屋の明かり見上げる街灯。全てを赦してくれる様に家の灯りが出迎えてくれて、じわり涙が滲んだんだ。映画の様な、僕の道のりを
2013/05/04
nyanco
ノベルス化にあたり未収録作品と書き下ろしが加わったと聞けば読まずにはいられません。表題作『ロードムービー』がやっぱり一番好き。既読で辻村マジックが解っていると言うのに溜息ものです。いじめにあったトシとワタルの切ない気持ちが堪らない。そしてワタルの応援演説がやっぱり凄くイイ。『トーキョー語り』はある作品の続編。辻村マジック、炸裂です!!トーキョーから来た女の子=派手というイメージにすっかり惑わされてしまいました。単行本で読んだから…と思っている人!チェックしてくださいね~!!続→
2010/10/04
MURAMASA
つい先日『冷たい校舎の時は止まる』を読んだので、ようやく本作が読める!と満を持して(笑)購入しました。あの物語の前の、後の彼らや、そして彼らの周辺の人たちの物語。小さな子どもも、中高生も大学生も、等しく悩み、傷つき、そして成長していく姿に打たれました。一つの物語として完結させた世界の「その後」や「その前」が読めるのは、読み終えた人にとってはご褒美のようなものですが、辻村さん自身、こうやって幾編もの作品としてさらに書きたいという愛情のもてる作品であるということなんでしょうね。 続
2011/02/20
ぺぱごじら
「冷たい校舎の時は止まる」に登場した彼らと彼らにまつわる人達の物語。なので「冷たい校舎」は事前に読んでおくと、より楽しめます。勿論こちらを単独で読んでも楽しめますけど。辻村さんの「ミステリ」は個々の作品中にも、それ以外にも仕掛けられています。ぼくにとっては、辻村さんの仕掛けるミステリには「無理に解かずに引っ掛かる」方が楽しめるので、今回もまっすぐ読んで幾度か「…あぁ、そうだったか」と呟くことになりました。「冷たい校舎」を読んだのは2年前の今頃で、懐かしい人達に会えて嬉しかったです。
2010/10/31
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