燔祭の丘 (講談社ノベルス シI- 21 建築探偵桜井京介の事件簿)
燔祭の丘 (講談社ノベルス シI- 21 建築探偵桜井京介の事件簿) / 感想・レビュー
ちはや@灯れ松明の火
永い旅をしてきた。館という閉じた空間に溢れる愛憎を、渦巻く思惑を、行き違う悲劇を解き明かしながらも、自らの心は燃え墜ちた廃墟の檻に囚われたまま。偽りの名に覆い隠された、拭えぬ過去の罪と闇、久しく遠ざかっていた血と炎の臭い。鎖に、足枷に、絡め取られるように、北へ。遠く、その名を呼び探す声が聞こえる、一度は棄てた筈の光と温もりを未だ求めている己が居る。大切な家族達を、ただいまと言える場所を。遠い旅路の果てには、神代の昔から変わることなく巡り来る春、蒼空の下の満開の桜。彼を迎える懐かしい声が、聞こえる。
2011/03/01
れいぽ
夢中になって読んでいたのが5年前。色々な事件やら登場人物やらがスッポリ遠い記憶の彼方に埋もれていました。言われてみればそんなエピソードもあったよねぇとうっすら思い出しつつ読了。あとがきにもあるように「建築探偵カルトクイズ」な一冊。何と言うか、壮大な話になっちゃったなぁが中盤まで読んだ感想。蒼はすごいなぁ(色々な意味で)が心に残ったこと。ラストは余韻があっていいですねー。桜の花言葉は「貴方に微笑む」。京介が桜の下に戻ってこられますように。あ!深春!!おめでとう~(笑)
2011/08/17
扉のこちら側
初読。お屋敷で対決するが建築は関係なく、彼女の翻意も唐突だったな。旅に出た彼の帰還を待つ。
2011/01/06
RIN
シリーズ第一作が1994年というから随分と長い長い物語だった。当初は美貌の変人建築家の卵探偵が事件の謎解きをする、という普通のミステリだったが、シリーズ途中から出生の秘密だの家族の宿命だの謎めいた過去だの、そちらがメインになっていったような。というわけで、ファイナルの本作はそのドロドロの「血の呪い」に決着が…。着いたようなまだ何かあるような。篠田氏自身が既に初期の頃書いておられたような「普通のミステリ」路線には興味が失せている様子なので、眩惑感溢れる幻想小説系として多分これからも時々手に取るだろう。満足!
2012/05/07
キキハル
建築探偵シリーズ最終巻。読み終わった!頭がぼわーっと膨張している感じがするが、ひたすら満足!初期のエピソードなどは忘れているものもあったがとにかく先へ先へ・・・。今は廃墟と化した山上の学園址。20年前の惨劇の真相とは?アレクセイはその手で人を殺めたのか?愛に飢えた子どもたちがいびつに歪んでいくさまが哀れでならない。狂った歯車。大人の欲望。観念のグレゴリ。予想していた展開もあり、意外な真実もあり。そんな中、エピローグの終わり方がとてもよかった。満開の桜の向こうに京介と蒼の笑顔が見えるようで。(続く)
2011/01/18
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