志賀直哉私論 (講談社文庫)
志賀直哉私論 (講談社文庫) / 感想・レビュー
カブトムシ
p320より。もっとも井伏(鱒二)さんが、志賀さんの前で、ひとことも口がきけなかった理由の一つに、太宰治が死ぬまえに書いた「如是我聞」のことで責任を感じていたということもあったかもしれない。いま読んでみると、これは太宰氏が志賀さんに喧嘩を売る、というよりワザと奇声を発して志賀さんのまわりを踊ったり逆立ちしたりして、やたらに騒ぎまわっているような奇文であるが、井伏さんはいまも、太宰がこれを書いたことを取り返しのつかぬ悪事と考えておられるようだ。太宰治『もの思う葦』所収の「如是我聞」と合わせてお読みください。
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