日本共産党の研究(三) (講談社文庫 た 7-7)
日本共産党の研究(三) (講談社文庫 た 7-7) / 感想・レビュー
遥かなる想い
第3巻は リンチ共産党事件を中心に、 党壊滅までを描く。日本が第二次世界へと 突入する中での 佐野・鍋山 両巨頭の転向、 スパイ査問における小畑達夫の急死、そして 相次ぐ リンチ事件と転向・逮捕・組織解体などが 描かれる。 かつての同志が実はスパイだったという 不信感・猜疑心が戦前の共産党を壊していく 様を 克明に活写した本だった。
2017/07/20
100
日本共産党の歴史を記した本の中でも、批判を前提の検証なので細部で時代のルーズさに対して厳しすぎるようにも思える。それでも承服出来ない2点。スパイリンチの評価は判決に任せたとしても、いつでも路線を方向転換できる組織体制を維持し、将来像の確約をしない組織が支持を得る理由が見当たらない。
2024/06/23
かふ
半分は参考資料だったから、そこはカット。トッピクスの後に出してくれたら読んだのかもしれないが最後に100ページ以上もある資料を読む気は失せる。三巻は、もう結論も事件もあらかた語ってしまっているので、あとはリンチ事件の概要と総論。小畑達夫のスパイ査問現場の概要が長すぎる。共産党に突っ込まれないように慎重に描写しているからなんだが。小畑達夫の事件を殺人というよりは過失致死と書いていながら、あとでレーニンのスパイは殺さなければならない、とする言葉を持ってきてスパイ事件は殺人だったと推量する。全体的に推量の文章。
2021/07/05
ステビア
遂には自壊してしまう日共。3巻通しての感想だが、日共の歴史・体質だけでなく、日本のインテリの1類型をも抉り出した大変な労作といえるだろう。著者が日共の反論をメッタ斬りにしていくところは爽快でもある。できれば戦後の歴史も書いて欲しかったものだ。
2020/08/25
猫丸
下巻は1933年暮れに起こったリンチ事件の詳細。かねてから潜入していた複数の特高スパイたちによって戦前の共産党は1934年には壊滅した。 大規模な検挙と獄中転向もさることながら、党中央における疑心暗鬼により内部から崩壊していったというのが実際のところか。宮本主導のもと、大泉・小畑への査問が実施され、その過程で小畑が死亡する。戦後、宮本はなし崩し的に免責された格好ではあるが、思想犯としての治安維持法違反は精算できても、殺人(あるいは過失致死)を問われた刑法犯としては限りなくクロに近いグレーのままだ。
2022/02/10
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