うまいものが食べたくて (講談社文庫 か 21-1)
うまいものが食べたくて (講談社文庫 か 21-1) / 感想・レビュー
ぱ隹越九朗
俳優金子信雄の食に関するエッセイ。戦前に生まれ、過酷な戦中を過ごし、戦後から昭和後期を生きた筆者の感性がそのまま現れたような生々しい書きぶりに少し面食らう場面もありました。性関係、女性、時代の変遷、政治等への明け透けな視線が特にそうでしたが、それでも当時を実際に生きた人間の感じたものの記録として興味深くもありました。筆者の食への興味の強さが活きた一冊ですが、紹介されているお店の多くが閉店しているのが惜しい。"もっともぜいたくな筍の料理"のエピソードは、フィクションの悪い金持ちの料理みたいで最も印象的です。
2023/11/19
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