写楽殺人事件 (講談社文庫 た 43-1)
写楽殺人事件 (講談社文庫 た 43-1) / 感想・レビュー
ちょろこ
写楽の正体は?の一冊。第29回江戸川乱歩賞受賞作に納得。謎の絵師、写楽の正体を追い求める面白さと殺人事件の真相へと辿り着く面白さで二重に楽しめた。最近、興味と知識が増えてきた浮世絵界と写楽。謎のヴェールに幾重にも包まれた写楽の姿、そのヴェールが一枚ずつ剥がされていく過程は物語ならではの仮説が真説へと変わる面白さが止まらない。絡んでいく蔦屋、政事情まで興味が尽きなかった。複雑な人間模様が入り乱れる事件の真相。トリックに目新しさはないもののじっくり読ませる。心救われるような終盤、綺麗なまとまりまで、はなまる。
2024/08/30
k5
高橋克彦という作家の実力を感じさせるリーダビリティ。もともとご本人が浮世絵の研究者なのでマニアックな内容になってもおかしくないところを、学問的な部分が一番盛り上がるんだからさすがです。解決篇はぶっちゃけ面白くないんですけど、それはおいといても来年の大河ドラマまだ平賀源内と北斎と写楽の配役発表されてないよね、と食い気味に検索してしまうくらい、浮世絵世界に呼びこまれる一冊でした。
2024/09/01
はらぺこ
江戸時代の話やなくて現代の話。ある手掛かりから写楽の正体を探る大学助手の津田。その津田の周りで起こる殺人事件の話。 出てくる仮説を読んでると多少ゴチャゴチャしたけどオモロかった。 古い本やからしょうがないけどもっとユーザー数が多くても良いのになぁと思う。
2012/02/12
山田太郎
写楽がからんでないとなんてことない古臭いミステリな気がしますが、写楽からめたおかげでえらく名作になってるような気がする。主人公とおねえちゃんの絡みとかえらくべただし。島田荘司の同じようなやつ読んでるんで、島田物の力技さ加減がすごいなと。
2018/01/25
セウテス
高橋克彦氏のデビュー作にて初読みです。浮世絵シリーズ3部作の一つです。写楽とはペンネームであり、江戸時代の僅か10ヶ月足らずの間に140枚以上の絵を残し、姿を消した実在の浮世絵師です。いったい何者なのか、という謎を追って繰り広げられる、推理展開は綿密かつ説得力があり、いつの間にか引き込まれていました。浮世絵を巡る問題から殺人が起きるのですが、そこに幾つもの社会的性格を見ることが出来ます。最後にとんでもなく用意周到な事件のカラクリが明らかにされます。終盤犯人逮捕へ向けて、どんどん加速していく物語は圧巻です。
2014/11/14
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