奪われた死の物語 (講談社文庫 み 11-2)
奪われた死の物語 (講談社文庫 み 11-2) / 感想・レビュー
kinshirinshi
1970年代に描かれた、皆川博子さんの初期の作品。随所に昭和の匂いが感じられる。愛した人間が自分の知らぬうちに死んでいたことを受け入れられない人間が、その死を自分のものにするために、ある罠を仕掛ける。その意味を汲んだこのタイトルは分かりやすいが、個人的には原題の『花の旅 夜の旅』の方が漠然としていて好きだ。複雑に入り組んだプロット、倒錯した愛、甘美だが感傷を抑えた冷たい文体。この頃から皆川さんのスタイルが確立しているのが分かる。それにしても、この時すでに五十歳近かった皆川さんがいまだ現役なのには脱帽。
2023/03/21
つらら@道東民
皆川祭り3。凝りに凝った構成の妙に唸ります。虚構と現実が後半になるほどねじれ、大きな虚構を生み出していく。。。皆川作品にしては淫靡な感じが薄く、ミステリー色強めなので読みやすいと思います。表紙と単語が古めかしいけど、再評価すべき作品です。
2013/10/21
ベック
これはなかなか素晴らしいミステリですよ。何がスゴイって、あらすじをうまく説明できないくらい入り組んでいるところが一筋縄ではいかないおもしろさに溢れている.
2009/10/21
ビター
まず読み始める。或る少女の物語が展開されそれが第一話となる。しかし、それは虚構である。正しくは虚構の中の虚構ではあるが、それはそれとして今度は或る作家の日記が綴られる。物語はそれらが交互に折り返しながら進んで行き最後はそれらが交差する。圧倒的文章力と緻密な構成力によって成し遂げられた奇跡のようなミステリである。読め。
2011/05/28
kiko
構造は複雑だ。語り口はひと昔前のミステリーのよう。古本屋で手にした不思議な一冊から始まる物語は、いかにもこの作家らしい味わい。
2023/08/25
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