ぼくらの世界 (講談社文庫 く 2-14)
ぼくらの世界 (講談社文庫 く 2-14) / 感想・レビュー
セウテス
〔再読〕ぼくらの時代、気持ち、に続く三部作のラストです。この作品は青春群像であるのはもちろん、本格ミステリーに対するオマージュ作品です。作者栗本薫氏が、どのようなミステリー作家を目指しているのかを、描いているとも言えます。「XY・・」殺人現場に残された、謎の後書きを追って、栗本薫くんの探偵活動が始まります。言わずとも知られたエラリー・クイーン氏の作品やレックス・スタウト氏のネロ・ウルフを意識したストーリーは、三部作で一番本格趣向でまとまっています。もちろん、未読の方はトリックのネタばれに気を付けて下さい。
2015/01/05
Ryuko
再読。ぼくらシリーズ三部作のラストを飾る作品。著名なミステリーのネタバレがあり、未読の作品をすべて読んでから読み始めた。作者栗本薫のミステリーへの愛がたくさんつまった作品。そして、かつて三位一体だった彼らが大人になり、ひとりひとり歩いていくことにとても寂しさを覚える作品だった。講談社の表紙の三人の変遷も寂しさを煽る。「イヤだよ。カッコがつくなんて──大人になるなんて。イヤだよ」「だからさ。作家になりゃ、大人にならんでも、何とかカッコがつくかもしれん、と思ったわけ」
2020/03/25
agtk
ぼくらシリーズのラスト。「~時代」の三人組も大きく変わっていった。これが成長するということ、大人になるということなんだろう。それぞれの道を行く三人だが、さびしさよりもなんだか清々しい。ミステリとしても三作の中で一番よかった。ミステリ愛がみえる。さぁ次は「猫目石」だ。
2019/02/10
kagetrasama-aoi(葵・橘)
「ぼくら三部作」の完結編、といっても薫くんを主人公とした作品はまだこの先も書かれていますが。でも、この三位一体の三人の青春小説はここで一区切りです。三作の中では一番ミステリとしては凝っていると思います。事件の底に有る動機が如何にも本格ミステリらしくて大好きです。そして表紙が……ヤスなんか縮んでる気がします(笑)。薫くんのスーツ姿が可愛い、そして信は変わりませんねぇ。表紙絵だけで感動です。作者さま、クイーンが大好きなんですね。作者と探偵役が同じ名前ってクイーンへのオマージュですよね。後に有栖川有栖氏が→
2017/03/09
くーぴーめりー
ぼくらシリーズ3部作のラスト。何度めかの再読。 いよいよシャーローック・ホームズ賞受賞で、本格的に作家となった栗本薫。 随所にリアルな「栗本薫」という作家の「モト」が見えてくる気がします。 エラリー・クインをはじめ、ミステリー小説へのオマージュがたくさんなのも興味深いです。 栗本薫メインで、あとのふたりはほとんど出てこないのは残念ですが。
2016/10/01
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