熱い絹(下) (講談社文庫 ま 1-44)
熱い絹(下) (講談社文庫 ま 1-44) / 感想・レビュー
横浜中華街2024
1985年に刊行された実話をもとにした長編推理小説。1967年に失踪したタイシルク王のジム・トンプソンがモデルで、この未解決事件を松本清張なりの想像力で殺人事件として物語を構成したもの。太平洋戦争まで遡るもう一つの物語も絡んで読み応えのある内容になっている。
2021/06/19
toshi
綾辻行人、有栖川有栖、島田荘司と言った作家の作品を読んでしまった後では、やっぱり古臭く感じてしまうけれど、当時はこのあたりがミステリの本道だったんだろうと思う。 もうすでに知っているメンバーの間でさえ、同じ内容のセリフを詳細に何度も繰り返すのにはちょっとイライラ。 取ってつけたようになりがちな最後の謎解きが、あまり不自然な感じでなく流石。。
2019/04/06
R.Hand
迷宮入りした事件ですが、作者なりの結論は信憑性を感じました。 回答編が長いようにも思いましたが、お見事と言って良いかと思います。(3.3)
2015/05/16
たす
そう回収するのか…この時代背景があってこその物語だと、改めて思わされる。とはいえ、現代から見ても決して古さを感じさせることなく、歴史や地理を学びながら読むことができ、非常に面白かった。マレーシアという熱帯ジャングル、原住民、中国系の寺院、西洋人たちが建てた別荘の様子、そして日本からのレビュー団の色彩の鮮やかな描写に引き込まれる。いつかこの本をもって舞台となったキャメロンハイランドに行ってみたい。
2023/12/04
y_e_d
フィクションとノンフィクションを上手に組合せ、かなり広範囲に広げた伏線を丁寧につなげる技術はさすが巨匠の為せる業と唸るしかない。ただ、合同戦没者遺骨収容団の話と、下沢ヒロ子の出身が静岡であることが語られたとき、平造の登場は読めてしまった。反面、久太郎の話はまったく予測できなかった・・・ それにしても綿密な取材と事件の解析、また舞踊団の描写など、どれもこれも凄味を感じずにはいられない描写で、伏線が混み入り過ぎるとつまらなくなるものが多い推理小説としては別格の面白さだった。
2018/01/25
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