走れ! タカハシ (講談社文庫 む 3-9)
走れ! タカハシ (講談社文庫 む 3-9) / 感想・レビュー
キク
いろんな人の重要な場面で広島カープの高橋慶彦選手が絡んでくる短編小説集。最近の村上龍の、選び抜いた適切な単語で正確な描写を行う硬質な文体も好きだけど、初期の頃のバカっぽくて下品だけど、勢いとユーモアのある作品も大好きだ。「69」もそうだけど、何というかバカな男子ほどカワいいっていうやつです。
2021/09/11
chantal(シャンタール)
20年以上も前に出版された本だが今読んで良かったと、本当にそう思う。ノスタルジーの塊のような本なのだ。大好きなカープの選手以外にも他チームの選手の名前も知らないモノは一つとしてなく、こんなにも郷愁あふれる本はなかなかない。「愛甲で横浜高校が初優勝した年に」、「カープがダブルヘッダーの2試合めに中日に勝って優勝した時に」等と野球の出来事とリンクして記憶している私にとっては、まるでアルバムをめくるような気持。プロ野球が人々の生活に密着していた、なんといい時代だったのだろう。溢れる想いが文字数に阻まれる。
2017/11/04
びっぐすとん
図書館本。タカハシヨシヒコって誰?広島の選手?知らなかった。wikiで調べるとアラ!確かにいい男!昭和の作品だから当然だが、ザ・昭和な小説。何もかもが昭和!村上龍っておしゃれなシティ派かと思っていたが、昭和のおっさんだな。しょーもない男と女の痴話話みたいなストーリーの中で、ひとり清々しく輝いているヨシヒコ。本人が知らないところで物事を決定づけている神様みたいな存在。著者のヨシヒコへの愛が溢れている。『昭和歌謡大全』とか村上龍作品、案外面白い。今ではNGのワード、死語もてんこ盛り。昭和は遠くなったなあ。
2020/11/30
阿呆った(旧・ことうら)
<我慢して生きている人間は周囲の人間も不愉快にしてしまう、…人間には我慢をして生きる権利は無いのだ。><しようがないと言う一見投げやりで自虐的な知性は、案外幸運な出会いを呼んだりするものだ。>村上龍1986年の作品◆野球選手、高橋慶彦の野球を見ているお客様のそれぞれの生き方や人生、生活についての群像劇。高橋慶彦自身はほとんど登場せず。◆ねちっこい書き方が村上龍。
2016/07/29
こうすけ
最高に楽しく面白かった。村上龍が、広島カープの高橋慶彦選手を題材に書いた短編連作集。昔、海外の安宿で、旅行者用の本棚で見つけて暇つぶしに一編だけ読んだ記憶がある。当時は不謹慎であきれるほどくだらないと思ったが、そのくだらなさが全編に満ちていて手抜きは1つもなく、熱量が高くて良かった。69のテイスト。このスタイルの長編も読んでみたい。それにしても高橋選手はこの本のことをどう思っているんだろう。
2021/05/08
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