蕎麦ときしめん (講談社文庫 し 31-2)
蕎麦ときしめん (講談社文庫 し 31-2) / 感想・レビュー
kaizen@名古屋de朝活読書会
著者:昭和22年名古屋市に生まれる。愛知教育大学卒。 小説現代に1983年から1986年に掲載の6話。蕎麦ときしめんの第一章「日本の名古屋は世界の日本」この相似性に気が付く人は、名古屋から東京へ出た人に多い気がする。 あとがき。「パスティーシュはフランス語であり、美術などで使われる用語で、模造品、模造画というような意味らしいとわかった。」 p83, 「name名前」「斬るkill」「だるいdull」序文という作品の中の記述。
2013/07/24
ぶち
この本に収められている作品はすべて"模倣作品(パスティーシュ)"です。高名な歴史小説家の名文、有名な麻雀小説、無名なサラリーマンの素人文章、学者の権威を匂わせた学術書の序文… ありとあらゆる文体の模倣をすることで、もともとの文体とは次元の異なる面白さが滲み出てきます。模倣の元となった作家や作品への愛すら感じます。読んでいてとても楽しかった。『きしめの逆襲』は、表題作の『蕎麦ときしめん』が名古屋の人々の怒りをかってしまい、収拾がつかなくなってしまたという後日談。"毒入りういろう"には笑ってしまいました。
2024/03/02
HANA
「猿蟹の賦」が無性に読みたくなって再読。どの収録作も一癖も二癖もある物ばかりで、著者の才人ぶりを存分に楽しませてくれる一冊。個人的に一押しなのは司馬遼太郎の文体で猿蟹合戦を書いた「猿蟹の賦」なんだけど、今回読み直して同じく司馬文体で社史を書くという「商道をゆく」の魅力が再確認できた。司馬文体に紛れて社長をボロボロに書くの面白すぎる。他にも名古屋嫌いの東京人が偏った名古屋観で書いた論文を名古屋出身東京在住の著者が紹介した表題作や英語語源日本語説「序文」等魅力的なものばかりが収録されている。本当にお勧め。
2022/05/22
Shoji
抱腹絶倒の面白さ、ユーモアの真骨頂です。今風の言葉で言うと、名古屋をディスっています。昭和の国民的小説家をディスっています。誰もが知っている民話をディスっています。でも、嫌味や悪意はなく、ブラックユーモアとも少し違う感じ。「模倣小説」という新たなジャンルだそうです。エンターテイメント全開。いやぁ、面白かった。
2019/06/20
かんらんしゃ🎡
★『序文』凡そ序というものは始まりの事で本題本文は別にある。序歌「なにわづに~」はカルタ大会の始まりで勝敗には関係ないし、「令和」の万葉集序文もさあ今から歌を詠もうではないかと言ってるだけだ。★英語の起源は日本語であるとnameとnamaeや他の例も挙げた学術書の序文。これだけでもばかばかしいのに、それを序文だけで学会にbattle(場取る)を仕掛ける。おじさんが真面目に論争する姿が、子供のようでおかしい。本文無しで一つの小説を作ってしまった。(読了2016/02/15 感想2020.1.21)
2016/02/15
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